盛岡駅 | 鼠帝国@アメブロ

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※ブログ移転に伴う文字化け・リンク切れは適宜修正

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上り特別急行「はつかり」が好摩駅を通過する頃、
車内の空気が心持ち騒がしくなる。
多くの乗客が、これから始まる"競技"に備える。
静かに座席を立つと、ライバル達も遅れまいと続いてデッキへ向かう。
降り口は右か?左か?客用扉の前方に陣取り、この駅への到着を待つ。
到着番線・降り口・接続列車を案内する車内放送によって
高まるテンション、滲み出るアドレナリン。

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やがて「はつかり」が終着駅に降り立つと、乗客達はアスリートと化し、
新幹線の自由席を求めてホームヘ全力で駆け出してゆく。

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タイムリミットは約8分。キオスクや駅弁売りには目もくれず、
階段を二段跳びで登り、跨線橋を走り、
流れの良い中間改札を見分けて通過し、
最後の高架ホームへ続く55段の階段を力を振り絞って登頂し、
停まっている目的の列車の自由席車両内を窓越しに窺い、
獲物を狙うハンターの様に空席を探す。
座席を射止めた者には目的地までの安息が与えられ、
そうでない者はデッキで立ちん坊や地ベタリアンが待ち受ける…
そんな天国か地獄かの過酷な乗り継ぎ、通称"盛岡ダッシュ"が
東北新幹線の八戸延伸まで毎日の様に繰り広げられた。

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2015年。所用で久しぶりに当駅を利用した。
かつて特別急行や新幹線が到着する度に開催され、
自身も度々参加したアスレチックな自由席争奪戦も今は見る影もなく、
この駅で、こんなにノンビリ出来るのはいつ以来だろう…と
当時を懐かしみながら構内を観察しつつ、新幹線ホームへ向かった。
しかし、座席に関する問題は別の形となって存在していた。

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自由席ならば、座席の確保さえ出来れば憂い無く座り続けられたが、
今では盛岡以北の新幹線は大半が全車指定席なので、
特定特急券や「新幹線Wきっぷ」利用では空席を確保出来ても
もし、そこの指定席券を持ってる客が後から来たら
その座席を明け渡し、他の空席を探さなくてはならない。

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そのため、後続客の有無の確認の為に発車するまでデッキで待機したり、
座っていてもなかなか落ち着かなかったりと
この駅での倹約旅人の座席に纏わる悩みは、相変わらず尽きない。

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