今日は、反転授業というものについて、書いてみようと思います。

詳細な説明は、下をご覧ください。

 

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私は、一応文系の教育学部(「教育方法学」という名目で学んだ認知科学の教育への応用を卒論のテーマにしたでやっていたことは実は理系)と国公立大医学部での学修経験を持つ者です。

もっぱら教育産業で教えていました。色々な科目の指導実績がありますが、英語の指導において、長文読解の授業を担当したとき、下線部訳などで、どうしても文法事項に触れなくてはならない場合があります。しかしそれをしていると本来の目的である読解の解説をどうしても一旦脇に置かなくてはならなくなり、英文の流れを追うという一番の核心が損なわれるという悩みがありました。

私は、大学で学恩を賜った認知科学第1世代*の教授から、「借金してでも本を買え」という言葉を実践しており、そのため自分の学びには資金を惜しみなく使う(そのせいで本はあっても、ご飯が食べられないという苦境に陥ったこともありましたw)ということをしてきました。

これには、他の先生の授業をお金を払って受けるということも含まれます。

予備校講師の先生方の授業は個性的で、ユニークな説明も多々あるので、とても勉強になります。今は凋落したといわれている代々木ゼミナールにおいて、今もご活躍の西谷昇二先生の長文の授業では、大変ぶ厚いテキストの中に、コンパクトな文法事項の説明箇所があり、それがナンバリングされていて、「ここの文法の説明は、テキストの〇〇番を見ておいて」という形で読解指導の流れから離脱することを防いでおられました。

これは、非常によい工夫だと思いました。イケメンで常に受講生のやる気を鼓舞するトークやパフォーマンスもあるので、誤解されている部分もあろうかと思いますが、教授法の部分についてもしっかりと取り組んでおられる方だいえると思います。

その手法を一部パクらせていただいた方法論として、文法事項の説明は、文法事項ごとに、クイズやミニテストで理解度を図れるように作った30分くらいの動画で上げておき、「ここの説明は動画にしてあるからそれを見て学んでおいて下さい」とういうやり方を思いついたのです。これは、アクティブな学習者にとっては非常に有効でした。ただ、パッシブな学習者の中には動画をみることすらしない人もおり、これらの人にとっては、効果がありませんでいした。

さて、話を反転授業に話を戻しましょう。反転授業では、対面指導ではほとんど解説は行いません。従来の一方通行型の指導内容については動画に上げておき、「授業」では、その視聴を前提とし、各学習者に動画で説明したことに関連する問題演習をさせます。教師の仕事はティーチングではなくコーチングになるということです。

こういう話をしますと、従来型の指導パターンが否定され、自分の仕事がなくなるのではないかという懸念を持たれる方も少なくないでしょう。ただ、遅かれ早かれ生成AIが教師の仕事の多くを担うようになることは確実です。しかし、熱量を込めて指導に臨むということは、少なくとも今のところは、人間にしかできないと思います。つまり、仕事が無くなるのではなく、仕事の内容が「教える」から「モチベーションを高めたり一緒に考えたりする」というものに変容するだけのことなのです。

このような反転授業という試みをしてみたいという方がおられましたら、ぜひお手伝いをさせてください。

*認知科学第1世代とは、私がそう呼んでいるだけなのですが、1980年代にアメリカで盛んになった認知科学を日本に紹介し、その旗振り役をになった方々で、

 

戸田正直北大名誉教授(故人)
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佐伯胖東大名誉教授
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安西祐一郎元慶應義塾塾長
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などのビッグネームの方々がいらっしゃいます。