これからその葬儀に向かうのですが、今も思い出ばかりが頭に浮かんでしまいます。
今思えば本当にユニークな先生でした。
ある時、
「集中力のサーキットトレーニングをする」
と突然言われました。
何をするのかと思えば、
縫い針の針穴に糸を通す
大豆を滑りやすい塗り箸で皿から皿に移す
平らな床に十円玉を立てる
こういった事をタイムトライアルで競いました。
またある時は、
「今日はバドミントンをしよう」
と言って体育館に連れて行かれました。
今日はレクレーションの日なのかなくらいに思っていたら、
「利き手ではない方の腕でやれ」
と言う事で左手で延々とバドミントンをやりました。
正直な感想として、どんな成果があったかは分かりませんが、卒業してだいぶ経ったあとに先生にお聞きしたところ、
「お前たちを教えていた頃は、色々と試行錯誤していたんだよ(笑)」
との事でした。
付け加えておくと、当時からラダーを使ったフットワークや敏捷性を養う練習や、ゴムチューブを使ったダッシュの練習など最新のトレーニングも並行して行っていました。
そんな先生とは卒業したあとも、ごくたまにではありますがいろんなお話を聞かせていただきました。
先生はとにかく遠征や合宿が好きな先生で、三連休以上の時はとにかく色んなところに練習に行きました。
どうしてそんなに遠征や合宿が好きなんですかと聞くと、
「合宿で遠出していれば受け持っている生徒が問題を起こしても警察まで行かなくても済むだろ(笑)」
という当時現実味があり笑えない冗談の後に、
「自分の教え子は強くしよう、良くしようという気持ちが先に来て、どうしても悪いところに目が行きがちになる。
逆に他所の生徒は強いところ、良いところがとってもよく見える。
合宿に行くことでまわりの先生達の意見を聞いて、お前達のことをより深く理解して指導していたんだよ。」
と仰いました。
このお話を聞いた時はまだ自分自身選手として活動していたのですが、指導者となった今はこの言葉の意味をとても重く感じます。
高校時代にいただいた、
「チャンスは活かせる人間のところにしか回って来ないから無駄にするな」
「強い人間と練習しても、弱い人間と練習しても学び取れる人間が本当に強くなれる人間だ」
と、今改めて多くの事を学ばせていただいたなと再確認しました。
NEXUSENSEの道場開きにお越しいただいた際に、私の両親との会話の中で
「直哉は最初から出来上がっていましたよ。」
とおっしゃっていただいたのが昨日の事のように思い出されます。
本当に嬉しかったです。
こんな事を書くと嘘みたいなのですが、昨夜夢の中で先生にお会いしました。
夢の中の合宿に参加していた先生に思わず
「先生、最後のご挨拶に来ました。」
と伝えると
「何が最後だ、またすぐ会えるだろ。」
と夢の中の先生は笑って仰いましました。
確かにまたすぐ会えるなと、今、高速バスの中でこのブログを書きながら思いました。
先生、もうすぐ最後のご挨拶に伺います。
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