遡る事 約3ヶ月前


T島の紹介で今年の2月から

突然入社してきた25歳、E崎が


「すみません、急ですが独立したいです。」


なんて言ってきて



元々面識はなかったせいもあって


「コイツ、何しに俺の所に来たんだろう?」


としか思わなかった。



今のところ社員は4人いるけれど


そのうち1人は20歳の女性社員で


「テンチョウハムリデス」


なんて言う。



4店舗あるなかで1人1店舗任せているので


私が現場復帰する事になった。



普段はエリアマネージャー的な感じで


週末は人員不足の店に入って


平日はオーナー業務をしていたが


店舗に「オーナー兼店長」として

復帰するのは約半年ぶりの事だった。



まぁ現場一筋約30年間もやっているので


1店舗の店長をやる事は苦ではない。



むしろ現場にいる方が

若いアルバイト達と接する事ができるので

私としては楽しい。



しかし時代の流れで



私の厳しいやり方について来られない子もいるし、本来なら20代くらいの店長の方がバイトの子達もやりやすいのではないかと思ったりする。



そして私は昨年購入した4店舗目に入る事になった。


売上が一番低くて利益もあまり良くない店舗である。



人員も一番少ないので

20歳女性社員のS木と一緒にやる事になった。



20歳かぁ。。これ、完全に



「親子」



じゃねーか。。。



私と仕事をした事のないS木は

結構びびっているらしく


少し萎縮している模様。



でも私は基本的にいつもキレている訳ではないし、厳しく接する時はちゃんと

「なぜあなたは叱られているのか?」

を理解させているつもり



ノリの良いバイトのやつとはたまに

バカっぽい事もやったりもする。



私のやり方が100%正しいとは思わないが



私は信念を持って行動しているので

他人からどう思われても気にしない。



まぁ飲食店の経営なので

人とのコミュニケーションをしっかりとっていれば、まず大きな問題は発生しない。



たまに何度言っても聞かない

舐めているヤツもいるので

そういう輩は自ら辞めて行くが


「去る者は追わず」だ。



店舗に入って2週間ほどが経ち

在籍しているアルバイトと面談を終えて

ほぼ掌握したと思っていた矢先、



シフトを作ろうと思ってPCを開くと


既にほぼ出来上がっていた。



「おおっ!!??」



「S木、キミが作ったの?」


「いいえ、多分、ねぇさんじゃないですか?」



「ねぇさん」



とは


社会人で時間帯責任者の24歳

店では一番年長者の女性だ。



「K田、君がシフト作ったの??」


「はい。後で社長にチェックして貰えればと思いましてー。」



「スゴイ、スゴイよ!、K田!」



頼んでもいないのに

店舗の要であるシフトを作ってしまうという行動を起こすアルバイトは

今まで出会った事がなかった。

 


アルバイトの子がシフトを作るというのは

時には余剰人員をカットしなければならない局面があるので


稼ぎたいアルバイトが作ると

他人を押しのけて自分のシフトを確保しなければならないので、避難を受ける事になる場合が多い。



少し修正はしたが、よくできていた。



仕事っぷりも真面目だし

他の学生アルバイトにも信頼されているし

これは「ピン!」と来てしまった。



「K田さ、ウチの社員にならない?」


最初のレスポンスは



「考えた事はあるんですが

私に出来るでしょうか。。」



「最初のうちは俺もフォローするからさ、

前向きに考えてみてよ!」



「ハイ。。」




小学校や中学で

「学級委員」


というのがあったけど


自ら立候補する

イケイケ陽キャなヤツと



普段目立ってはいないが

高い能力を持ち、信頼されていて

推薦されるヤツ



K田は後者のタイプである。



ピンチハチャンスーー!!



以前、2店舗目の女性店長が退職してしまった

苦い経験もあるので


少し時間を掛けながらスカウティングした。



給与の面でも折り合いが着いて


10月から晴れて入社する事になった。



「繁忙期まであと2か月しかないから

それまでに店長業務を叩き込むよ!」



「ハイ!!」



仕事っぷりは真面目だし

行動も早い。


なにか気になる事があれば

すぐに相談の連絡がある。


メキメキと成長していった。


その矢先

11月のある日


抜き打ちの本部監査が入った。



「近日入る可能性が高いから注意して!」


と何度もアナウンスしていたにもかかわらず



散々な結果だった。



社員のグループLINEで

指摘された項目の報告が入った。



私には直接電話で報告があると思っていた。



しかし、2時間、3時間経っても何もない。


怒りの頂点に達して店に電話した。



「あ、社長、、すみませんでした。。」


「なぜキミは俺に直接連絡しない?

こんな酷い監査結果なのに??


キミはもう店長代理なんだろ!


報告を見る限り他人事にしか思えない!!!」



「すみません、、、」



「普通これだけの失態があるならば

電話で報告するのが当たり前だろ!」



「そうでした、、すみません。。」



「監査結果もそりゃ残念だけど、

ちゃんと直接連絡くれて、

今後はこうしていきます。

って報告くれればこんな怒ってないぞ!!」



「はい。。」



社員に対して感情的になったのは

数年ぶりの事だった。



その後K田からLINEで謝罪と

「今後の店舗運営を頑張ります!」

という連絡が来た。



私も

「強い口調で叱責してすまない。

期待しているから頑張ってね。」


と送った。



K田からは


「ありがとうございます!頑張ります!」


と返信が来た。



でも若いのに

素直で良い子だなぁ


と思ったが、、、



最後にかわいいクマの

ごめんなさいスタンプが来た。



私はため息をついて



「こういう時はスタンプすな。」



と返した。



「あ、すみません💦」

って、、



歳取ると些細な事が気になってしまうけど



やっぱりZ世代の思考って


わかんねーや。。。。