手持ち資金が消えていく恐怖で「守り」の日々 ①見込み客と出会えない
【士業のための「生き残り」経営術 002】
第1章 私も、お金を「借りて」「使って」生き残った
『手持ち資金が消えていく恐怖で「守り」の日々 ①見込み客と出会えない』
資金はもちろん、資格も人脈も、経営コンサルタントとしての経験もない独立当時。とはいえ、金融機関時代の人脈が少々は活きるのではと当初は考えていました。…甘かった。政府のセーフティネット利用法をアドバイスした元・顧客からは当時とても感謝されたのですが、独立後にコンサルタント契約をお願いしに訪問してみると「そんな余裕はない」「コンサルタントと契約するほどたいした会社じゃない」と断られ、ひどいときには「金融機関を辞めて金も貸せないお前に用はない」と追い出されたりすることもありました。独立前のみなさん、「独立前の職場がらみの人脈→見込み客」というルートにはあまり期待したり執着しない方がよいかもしれません。
さて、そこで新たな人脈を構築するため、私は異業種交流会へ足繁く通うようになるのですが、出席する会の基準は「参加費が3000円以下であること」。交流会後の懇親会にも、外食費がかさむのがつらくて、そうしょっちゅうは出られませんでした。後でわかったことですが、交流会の場で名刺を交換し、少し話したくらいでは、まず仕事の依頼や紹介などしてもらえません。リラックスした場でお互いに自己開示していかないと、仕事を頼んでみようかなと思えるほどの信頼関係は築けないのです。
また、参加費が高額になれば、安価な会とはまた違った人脈が得られると気づいたのも、実際に高価な会費の交流会に出られるようになってからのことでした。安価な参加費でも優れた交流会は数多く存在し、貴重な出会いはもちろんありますが、参加費が安いとそれだけ門戸が広がるので、自分を売り込みたい(つまり私のような)参加者も増える…ということが多くの参加経験からわかりました。自分と同じくらいのキャリアを持つ仲間づくり、または自分のセミナーや勉強会の告知のための名刺集めだと割り切っていればよかったのですが、見込み客との出会いを期待していた当時の私にとっては失望の連続でした。
お金は減っていくのに顧客確保の「方法」すら見つからず、焦るばかりで眠れない夜が続きました。いちばんつらかった時期です。自動販売機のコーヒーを買うのにも躊躇し、財布の心配をせずに自動販売機のボタンを押せるようになりたいと本気で思っていました。