もう季節は秋になりかけ、寝苦しい夜はなくなったと思いますが、今日のブログは季節外れの怪談話、こわ~い話をしたいとおもいます。
どうもはじめまして、雪乃川 淳二です。
タイトル『一平ちゃん』
これは、ワタシの知り合いが数年前に、体験した話なんですがね。
彼は当時、大学出たての新卒で、給料も手取りで20万あるかないかで 、月末になると金銭的に苦労してたみたいなんですよ。
独り暮らしでしたしね。
そんなある日の月末、彼はその月友達と遊んだり、会社の同僚と仕事帰りに飲みに行ったりだのなんだのとしてたら、いよいよ生活費に困ってしまったらしいんですよ。
「いや~、今月遣いすぎちゃったなぁ。給料日までまだあるのにこりゃマズイな~。」
言いながら冷蔵庫を開ける。
「ギィィィぃー」
・・・何も無い。
中にはケチャップ、マヨネーズ、とにかく調味料しかない。
辛うじてビールがあるくらいで食べ物という食べ物が何も無い。
他に何か無いかなぁ。
バタンと冷蔵庫の扉を閉めた時に。
「カツッ…カツッ…カツッ…カツッ!」
・・・足音が聞こえたんですよ。
というのも、彼が住んでいたのは古いアパートの二階で、彼の部屋を出るとすぐ真横に階段があったんですよ。
その階段を昇ってくる足音だったんですが、普段ならそんなの気にも止めませんけど、人間空腹になると五感が冴えるとでもいうんですかねぇ。
なんだか妙に気になった。
「カツッ…カツッ…カツッ…カツッ…」
足音はどんどんどんどん近づいてくる。
「カツッ…カツッ…カツッ…カツッ」
「カツッ!」
・・・足音が止まった・・・。
その瞬間!!
「ガチャッ」
「ギィィィぃー」
誰かが扉を開ける音がする!
うぅぅぅぅ!
声にならない声で身構えた。
「バタンッ!」
誰かが扉を閉めた。
・・・隣の部屋だったんですよ。
お隣さんが帰ってきたんですねぇ。
彼は全身汗ビッショりになりながら、気を取り直して食料を探す作業を続けた。
キッチンに目をやると、キッチンのシンクがあって、その真下に収納扉があるのでそこも覗いてみる。
ギィィィーぃ・・・
・・・無い。
普段そこにはレトルトのカレーだとか、お米だとかを入れていたけど、全部食べちゃっててもぬけの殻だったって言うんですよ。
何も無いや困ったなぁ、腹へったなぁ。
なんて言いながら、ヒョイと見るとビニール袋の一部が隅っこの方で見えた。
あれ?
何かあるなー?
ビニール袋を引っ張って取り出してみる。
中を覗くと彼は声を上げた。
「おお!あるじゃん!あったよ!」
袋の中にはペヤングソース焼きそばが入ってた。
とりあえず今日はコレで凌げるぞ。
彼の顔に安堵の表情が浮かぶ。
さっそくヤカンに勢いよく水を注ぐ。
「ジュワーー!」
ある程度入れて、火を着けてお湯を沸かす。
「チッチッチッ、ジュボッ」
5分、10分経った頃でしょか。
台所を見るとヤカンから勢いよく蒸気が吹き上がってる。
「プヒョワーっ!」
彼は火を止め、ペヤングに湯を注いだ。
「ジョボジョボジョボー」
更に待つこと3分。
もういいだろう。と、ペヤングを持ち、湯を切り始めた。
「トクトクトク…」
だんだん中のお湯が出ていく。
と同時に妙な感覚に囚われた。
「オイオイオイ!!」
彼はそれに気付いた!
「熱い!!」
その瞬間!
「ボトンッ!」
何かが流しに落ちた!
・・・焼きそばの麺だったんですよ。
あまりの熱さに手を離しちゃったんですね。
中の具がぜーんぶ落ちちゃったんですよ。
次の日、彼は職場に現れなかった。
会社に来ないし携帯にも出ない彼を心配して、彼の上司であるAさんが家に様子を見に行ったんですよ。
「ドンドンドンッ!」
「おーい、◯◯。いるかー?」
返事がない。
携帯は相変わらず出ない。
玄関の横の小窓を見ると、中の部屋の明かりが付いてるのがガラス越しに分かった。
…もしかしたら中で倒れてるんじゃ…。
嫌な予感がしたんで、大家さんに事情を話して鍵を開けてもらって中に入った。
玄関を開けてすぐAさんが叫んだ!
「おい!◯◯!!大丈夫か!?」
玄関開けてすぐ、彼はキッチンでうつ伏せになった状態ですでに冷たくなっていたそうです。
そして彼の遺体のすぐそばに 、ペヤングの焼きそばの麺でこう書かれていたそうです。
「一平ちゃん」
彼、間違えていたんですよ。
恐いですねぇ。