「家族の理念とビジョン」
どんな家族でも、うまくいっている家族でさえも、自分たちが決めた針路から外れることがあります。
それでも成功しているのは、はっきりとした方向性、進むべき道がわかっているからです。 これは飛行機の旅とよく似ています。
パイロットはフライトの前に目的地を明確にし、フライトプランを作り、飛行航路を決めます。そしてそのプランに沿って出発します。
そして飛行中に出会う風や雨、乱気流、他の飛行機の接近など、いろいろな状況に対応してその針路を常に変更していきます。
つまり、飛行中のほとんどの時間は、決めていたプランからずれていることになります。それでも目的地に到着できるのは、計器類の情報、管制塔からの指示、まわりの飛行機からの連絡、場合によっては星の位置を見たりして、軌道修正をはかるからです。
だから何回外れても、フライトプランに戻ることができるのです。
針路から外れてしまっても希望を失わずにいられるのはなぜでしょうか?
それは、きちんとしたビジョンと計画があり、軌道修正できるということを知っているからです。
この飛行機の話は、家庭生活を考える上でよい喩えになるといえます。
今、家族が針路から外れているかどうかは問題ではありません。
ビジョンと計画があれば、いつでも軌道修正ができる、そこにこそ私たちの希望があるのです。
大切なのは「目的地」「フライトプラン」「コンパス」を持つことです。もちろん、人によって家庭の状況はさまざまでしょう。
離婚寸前の人、ぎくしゃくした家族関係を築き直そうとしている人、あるいは良い関係を築いていても、さらに深い満足感や喜びを味わえるものにしたいという人もいるでしょう。
未婚の母や母子家庭、反抗期の子どもを抱え悪戦苦闘している親、しつけをどうしたらいいかわからず、厳しくしたり甘やかしたり、行ったり来たりしながら苦労している人もいるかもしれません。
家計が苦しく、毎日生活するだけで精一杯ということもあるでしょう。忙しすぎて家族との時間が取れず、関係が危うくなっている人もいるかもしれません。
いつも険悪な雰囲気になっている。親子の会話がなく他人行儀になってしまった。夫婦の愛情が冷めて寂しい気持ちに耐えている。
何とかやり直そうと頑張っているのに、何も変わらず絶望感と脱力感に襲われている。
親や夫から暴力を受け、そこから抜け出したいと思っても方法がわからない。あるいは子どもが欲しいのに恵まれず、そのことにストレスを感じている夫婦もいます。
でも今のあなたの状況がどうであろうとも、他の家族と比べる必要は少しもありません。
たいていの場合、隣の芝生は青く見えます。なぜ我が家だけがこうなのだろうと思いがちですが、どの家族にもその家族独自の問題があり、状況は千差万別です。
あなたが過去のどんな重荷を背負っていたとしても、「ビジョンはどんな重荷にも勝る」ということを認識することです。
将来のより良いビジョンを持つことで、過去の問題や厳しい現状を乗り越えることが必ずできるのです。
そのための家族の理念作りと、どうしたら家族共通のビジョンと価値観を築くことができるかを考えることが大切です。
パズルを組み立てるとき、完成図を知っているのと知らないのとでは天と地ほどの開きがあります。家族全員が完成図を共有していなければ、それぞれが違った基準で意思決定をし、結果はバラバラになってしまうでしょう。
家族の理念作りを通して、家族全員が共有できるビジョンを確立すれば、目的地が明らかになります。そして何回針路から外れてしまっても、軌道修正ができるようになるのです。
「どのように旅するか」という過程は、「どこに到着するか」と同じくらい大切なのです。
具体的には、定期的に家族と過ごす特別な「家族の時間」を持つことをお勧めします。そしてよほどのことがない限り、この時間をすべての事柄に優先させるのです。
この時間は、家族の計画、コミュニケーション、価値観について話し合いながら、一緒に楽しむ時間です。それは自分たちのフライトプランを正しく保つための大きな力になるでしょう。
人生で最も大切なものを三つ挙げよと言われると、95パーセントの人は、家族あるいは家族関係を三つのうちの一つに挙げます。
そして75パーセントの人は、これをまず第一番目に挙げているのです。
つまり、人生最大の喜びも、また最も深い悲しみも、すべて家族に関わるものばかりなのです。
豊かな愛に満ちた理想の家庭と、今の現状とのギャップを感じた時、針路から外れてしまっていると感じる。
そうすると憂鬱になりやすいし、絶望感に襲われる。理想など実現できっこないと諦めがちになる。
でも、希望は必ずあります。大切なのは軌道修正することです。
どういう立場であろうと、あなたは家族の一員です。そして家族の愛情とは、他のものとは比べものにならない特別なものなのです。
家族関係がうまくいっていれば、人生そのものがうまくいっていると感じられるほどに────。