(主にボカロ)曲の自己解釈ブログ

(主にボカロ)曲の自己解釈ブログ

名前の通りです
主の名前は夏を喰らうもの、漢字表記は夏喰です。本来の読みはサマーイーターなので、好きに読んでください。

Amebaでブログを始めよう!


「あなたのその妄想、叶えたくはありませんか?」

薄暗い路地裏でニヤリと微笑を浮かべる怪しげな男が、そんなことを言って名刺を渡してきた。

「あぁ、あの子もいいなぁ…あの子もかなり…。なんて、頭の中だけで『いいこと』するだけで、満足なんですか?」

男は俺の意見も聞かずに契約書を渡してきた。
『妄想税の支払い』

「あの子でいい、だなんて…なんて哀れな人生なのでしょうか」

大袈裟にうなだれた男は、再びニヤリと笑い「納めましょう?妄想税」と言った。

…なんなんだ。

でも、この『妄想税』を納めるだけで叶うなら…。

「おや?納めていただけるのですか?
えぇ、『叶えたい』を現実にできますよ。払わなければ未来は所詮妥協なのです…。

妄想税さえ納めていただければ、あなたのヤりたいことも殺りたいことも…
汚い妄想は、汚いお金で解決させましょう」

ニヤリと笑う男に、契約書を書き渡した。

「確かに受けとりました」

そういって、彼は立ち去っていった。


確かに、金額は高い。
それでも叶えたいものが叶うなら、安いものだ。







「ふざけんな!!騙してんじゃねぇよ!」

あの男にあってから一週間後、それは駅前の広場で起こった。

見るからに一文無しな男や、女子高生、サラリーマンまで。色々な人達がスーツを着た男に抗議を行っていた。

その男は、確かに一週間前に会った男だった。

「何を言ってるのでしょうか?貴方達」
「は?」

この前のようにニヤリと小さく笑ったあとに、男は高らかに笑った。

「金を払えば願いが叶う?バカだなぁ!そんなこと、在るわけねぇだろ!
全部Lie、大嘘だよ!!どうもありがとうございました、この紙切れは俺のものだ!!」

狂ったように笑う男は、いつの間に増えていた民衆の波に落ち、いつまでも高らかに笑い続けていた。





ピピッピピッ…
朝。

どうやら全て夢だったようだ。
そりゃそうだ、あんな良くできたことが起こるはずがない。

妄想税が本当にあるなら、自分で納めるのにな。

「その妄想、叶えたいって思わない?」