竜馬がゆく1 司馬遼太郎 | ZAURUSのブログ

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豊臣秀吉も徳川家康も、だまっていてもどこか愛嬌のある男だった。明智光秀は智謀こそその二人より優れていたかもしれないが、人に慕い寄られる愛嬌がなかったために天下をとれなかった。英雄とはそうしたものだ。たとえ悪事を働いても、それがかえって愛嬌に受け取られ、ますます人気の立つ男が英雄というものだ。竜馬にはそういうところがある。ああいう男とけんかするのはするほうが馬鹿だし、仕損さ。

事をなすのは、その人間の弁舌や才知ではない。人間の魅力なのだ。私にはそれが乏しい。しかしあなたにはそれがある、と私はみた。
なに、その与太がかえって人の警戒を解かせるから、大事ができる。そこへいくと長州の怜悧は人に警戒されてしまって手も足も出ぬことがあるし、それにもともと怜悧は人に好かれぬ。