先に、次元を下降させる方法で組織を考えて

見たのだが、今度は次元を上昇させる方法で

組織について考えてみる。

・人不足で採用ができない

「欠員が出ているので、人事が募集をしてくれ

てはいるのだが、なかなかハローワークから

も人が来ずに、採用ができない。どうも他の

会社も採用が苦戦している様子だ。」

まず、この事象が自分の身に降りかかって

来た時に、どの次元なのかをすぐに理解でき

るであろうか？

答えは、Lv６の次元（抽象度）で”日本”という

生命体が機能不全に陥りつつあるという症状

からくるものであろう。

先には次元を下降させる方法で見てきたが、

今度は次元を上昇させる方法で見ていきた

いと思う。

・次元（抽象度）Lv１：”人間”という生命体

欠員が出ているのに、人がこない。いったい

人事は何をやっているのか？こっちは、残業

が続いておりキツイし、担当外の業務もやら

されているし、我慢できない。

ストレス発散に仲間と飲みに行く回数が増え、

出費も増えている。いつまでこの状況が続く

のか、先を考えると、モチベーションが下がる。

・次元（抽象度）Lv２：”組織”という生命体

そもそも、なぜ人がとれないのか？募集の

業務内容の記載方法が悪いのでは？いや、

業務内容というよりも、そもそも業務量に

偏りがあるのではないか？と冷静になって、

部署の各メンバーの業務内容を整理してみ

よう！と思い、実行してみた。

例として、下図の”営業部”での組織であると

して、業務内容の整理をしてみたとする。

現時点で、腸の役割を担っていた担当者が

抜けて、欠員になっている。この腸の役割で

募集をかけている様子。

そして、思考している人を、心臓の役割を

担っている内勤営業Kさんであるとしよう。

内勤営業Kさんは冷静に組織の業務量を

分析してみたのである。元々１２名の組織で

あり、今は欠員が出て１１名になっている。

そして、内勤営業事務が２名のみになり、

中の事務処理がまったく追いつかないとい

う現状である。そこで、今は、外勤営業４名

がそれぞれ外に出る時間を短くし、中にいて

事務処理を手伝っている現状だ。特に、

外勤営業Kさんは脊髄の役割と右足の役割

を兼務しており、中の事務処理が比重とし

て大きく、さらに組織を支えている役割をも

担っていると、内勤営業Kさんからは見える。

ここがポイントであり、内勤営業Kさんから

見た視点であって部長や課長から見た視点

ではない。内勤営業Kさんから見たらこのよ

うに見えるということだ。

そして、内勤営業Kさんは他にもこのような

ことも考える。事務担当が３人もいるけど、

こんなに必要なのか？内勤営業として、

顧客対応や見積書作成などの業務は一切

手伝ってはくれず、経営資料の作成など、

データ処理の方ばかりやっているが、そん

なに業務量がないのでは？

そこで、内勤営業Kさんは思い立って、部長

に相談するのである。こんなに忙しいのに、

人も入らないし、それなら、事務担当者を

１人、内勤営業に回してほしい！と直訴す

るのだ。

つまり、内勤営業Kさんは、これ以上次元

が上げられないので、この２次元で思考が

止まっている現状である。

・顔である課長の視点からも考えてみよう。

人不足で採用が進まない現状は、会社の

状態が良くないというのもあるし、中小企業

でもあり、あまり会社が認知されていないの

で人が来ないのであろう。

もはや、年齢が高かろうが、未経験の若手だ

だろうが、どんな人であったとしても採用して

育成していくしかないのでは？と思っている。

しかし、誰でもいいという訳でもない。。。

いったいどんな人であれば、我々の組織に

マッチングするのであろうか？と真剣に考え

るのであろう。そして組織分析をするのだ。

繊維業界の営業部であり、１２名の組織。

外勤営業が４名で、既存顧客への営業と、

新規顧客への営業がそれぞれいる。そして

新規事業である炭素繊維業界への営業も

あるため、もっと外勤営業担当がほしいくら

いだ。外勤営業が今は内勤営業を手伝って

おり、外に出る時間が減っているのは大変

まずい状況だ。

かといって事務担当が３名いるが、ゆくゆく

新規事業への事務処理も増えてくるであろ

うし、３名は欠かせない。やはり、組織内で

役割変更して、腸の欠員を埋めるというこ

とは避けたい。せっかく予算申請が通って

いるので、人を採用しきりたい！と思って

いるのだ。そこで、会社のことも分析して

みるのだ。

・次元（抽象度）Lv３：”会社”という生命体

会社としても、実は工場や他の部署でも人

が採れず、同じく欠員が続いている状態で

あったのだ。

特に、製造部の人不足が深刻であり夜勤

もある３交代なので、まったく人が採れない。

現状は、外国人留学生で何とか回している

が、２，３年ごとに入れ替わるので人が定着

することもなく、大変苦しい現状である。

そんな中、営業部に他部署から人を回して

欲しいとは決して言えない。それに会社は、

製造部が機能しなくなれば、もう支えがなく

なり、倒れてしまうような危うい現状だ。

”会社”が生命体として機能しているとは、

決して思えない。そもそも、繊維業界がもう

人気がなく、人が寄り付かない構造になって

いるのだから。

・次元（抽象度）Lv４：”業界”という生命体

アパレル業界としてみれば、大変厳しいのが、

炭素繊維業界としてみれば、航空機産業など

ニーズは旺盛だ。

しかし、今の製造ラインでは造れるものが

限られており、ニーズに見合わないため、

製造ラインから開発していかねば、難しい

のであろう。そしてその費用が莫大であり、

今は現行の製造ラインで、限られた顧客

ニーズをしっかり満たし受注量を増やして

いくしか方法がない！と課長は考えるのだ。

そのためにも、やはり内勤営業担当で良い

人を採用して、既存顧客をしっかりフォロー

してくれる人がほしい。そして、腸の役割を

担ってくれ、現状の問題点や不具合発生の

危険予知などもアラームを発信できるような

そんな頼もしい人を採用できれば最高であ

るが、そんな人はいないか、とも思う。

では、他の産業から人をひっぱってくれば、

良いのではないか？とも考える。

そこで、産業について、分析してみる。

・次元（抽象度）Lv５：”産業”という生命体

アパレル・ファッション産業としてみれば、

大変厳しいのが、ZOZOやメルカリといった

インターネット販売で市場は伸びている。

もちろん、高級ブランドやキッズはニーズは

常にあるため、大手外資メーカーが巨大な

勢力として君臨してはいるものの、産業とし

ては、ほかに心臓や膵臓や腸の役割を担う

業界が無いので機能しているとは言えない。

このような状態で、あるアパレル産業に対し、

他の業界から人がわが社に来てくれるか？

というと、難しいのではと、産業界を分析する。

では、もう１つ上の次元である、”日本”につい

て考えてみる。

・次元（抽象度）Lv６：”日本”という生命体

日本を生命体としてみた場合、わが社が属す

アパレル・ファッション産業の立ち位置は腸の

役割になるのではないかと課長は分析する。

それは、炭素繊維や新たな繊維による市場

拡大が見込まれているからであろう。

日本全体で見れば、自動車産業、航空・宇宙

産業が基幹産業になっていくはずだと考えて

いるのだが、それには、”地上”だけではなく、

”空”という移動手段が今後は主軸になって

くるため、”空”への投資は各社で相当行って

いるはずだ。わが社も何としても付いていき

たいと考えるのだ。

そうすると、既存顧客はアパレル向けの顧客

であり、新規事業は自動車向けの顧客となる

ために、まったく産業が異なる相手先になる。

そう考えると、繊維業界という目線で採用活動

していても人が集まらないのであれば、目線

を変えて、自動車産業に関わっていた人という

目線で採用活動していくのはどうであろうか？

と考えるのだ。

そして、繊維業界未経験であったとしても、

顧客側の気持ちが分かるということで、自動車

産業の方に入ってもらえれば、顧客フォローが

上手くでき、需要ものばせるのではないか？

と考えるのだ。繊維用語、社内の事務処理など

特殊なことは沢山あるが、教えていけばなんと

かやれるのではないか？と考える。

しかも、自動車産業の下請け業者は結構きつい

仕事もしており、価格もきつく、品質もきびしく、

納期も厳しいという、環境の中でやってきた人

であろうから、そういう人を募集してみよう！

そのような思考になり、課長はその後、自動車

産業の下請け業者を訪問しては、人余りがない

かを聞きまわって行き、やがて、年齢は高めで

はあるが、よさそうな人が来てくれるということ

で採用することが出来たという次第だ。

いかがであろうか？これは例なので実際の話

ではないので、脚色している話ではあるが、

Kさんと課長の間には相当の思考の違いがある

ことが分かるであろう。

なぜKさんには次元を上げることができないので

あろうか、何が難しいのか？それを考えていく。

実は、難しいのではなく、役割がないからやら

ないのだ。課長は役割があるからやるのだ。

この差を理解できるだろうか？役割の問題に過

ぎない。人の能力の問題ではないのだ。役割を

与えると、自然にやれるようになるだろう。

ティール組織に向かうには、このKさんと課長の

間の情報量、思考の差を埋めていかねばなら

ないのだ。それには、次元を上昇させることも

必要であるし、情報を取得しやすくするという

ことも必要になるであろう。

この２つがキーワードとなり、各メンバーの育成

がなされていくのである。

どうすれば情報がとれるのか、どうすれば次元

を上昇させられるのか、この２つを中心に育成

していき、やがては課長のような思考にたどり

つくのに、さほど時間はかからない。

やり方さえ理解できれば、人はスムーズに適用

できるのだ。

ティール組織に向かうイメージができつつある。

次元を上昇させる方法で組織を考えてみる！