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Next舞台制作塾事務局ブログ「かめブロ」

舞台制作者の知識・スキル共有を目的とした『Next舞台制作塾』のお知らせや、セミナーレポートをお届けします。東京都・亀戸から発信中。


5回目のテーマは、「コミュニケーションと対話」。
舞台芸術と対話は、切りはなすことができない深い関係で結ばれた営みです。そして、この二つの領域にまたがって行われる対話型ワークショップが、近年注目されています。今回は<事例紹介編>と<体験編>に分けて、対話型ワークショップとは一体どのようなものなのか、ワークショップ・ファシリテーターの方たちと一緒に探りたいと思います。

第5回 制作塾オープンサロン
「事例紹介と実践で知る、対話型ワークショップの可能性」

http://www.next-nevula.co.jp/techo/?p=2994

【事例紹介編】
トーク『劇場からはじまる「対話」の作り方』

静岡県舞台芸術センター<SPAC>で開催された「静岡から社会と芸術を考える合宿ワークショップ」は、様々なキャリアの人々が全国から集まり、観劇やWSを通じて学びを深める、画期的な企画でした。このプログラムを作ったファシリテーターのお二人を招き、このプログラムの可能性について語っていただきます。

■日時:8/25(月)19:00-21:30
■ゲスト:平松隆之(劇団うりんこ)、白川陽一(Keramago Works)
■参加費:1,000円(税込)

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【体験編】
ワークショップ『ファシリテーション事始め―想像から創造へ 集団の課題を対話
で解決する―』


創造性豊かな集団であろうとするならば、場を取り持つファシリテーターと参加するプレーヤーの関わりによって物事が有機的に進むことこそが、本来あるべき姿だと考えます。そのために大切なのは、相手の言葉に耳を傾け、適切な応えを投げかける「聞く力」です。ペアーインタビューやブレーンストーミング、ファシリテーショングラフィックなどの手法を用いて、組織運営や人材育成、会議などに役立つ<参加体験型>の場づくりを学ぶ場を設けます。

■日時:8/26(火)11:00-18:00
■ファシリテーター:平松隆之(劇団うりんこ)
■参加費:3,000円(税込・25日のトークに参加された方は500円引き)


■会場(共通)
Nextミーティングルーム(東京都江東区亀戸7-43-5 小林ビル2F)
・JR線・東武線「亀戸駅」東口より徒歩7分
・都営新宿線「大島駅」より徒歩12分
地図 http://www.next-nevula.co.jp/single/access.php

■詳細・お申込み
http://www.next-nevula.co.jp/techo/?p=2994

◆ゲストプロフィール
平松隆之(ひらまつ・たかゆき)
劇団うりんこ/うりんこ劇場制作部長。子ども、地域、演劇に関する様々な活動を行う。2005年、劇団うりんこ入団。09年、大阪大学第1期ワークショップデザイナー育成プログラム履修。NPO芸術の広場ももなも理事・SPAC静岡から社会と芸術について考える合宿WSファシリテーター・せんだい短編戯曲賞審査員。主なプロデュース作品、10-12年「お伽草紙/戯曲」(戯曲=永山智行・演出=三浦基)、 11-12年「クリスマストイボックス」(作/演出=吉田小夏)、14年「妥協点P」(作/演出=柴幸男・舞台美術=杉原邦生)など。

白川陽一(しらかわ・よういち)
対話と学びの場のファシリテーター。
Keramago Works(ケラマーゴ・ワークス)の屋号で、ワークショップの企画、計画、運営とそのお手伝い、司会・進行(ファシリテーター)、その他教育活動を仕事にし、自らのリソースを使った 人助けやコミュニティデザインをナリワイとする日々を送っている。

■主催・お問い合わせ:
有限会社ネビュラエクストラサポート(担当 藤原・斉木)
TEL:03-5628-1325 / E-mail:Next@next-nevula.co.jp

協力:舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)

こんにちは、井神ゼミに参加しております、Next新入社員の石井です。6月14日、前回から約2週間空いて、井神ゼミの第3回講義が行われました。
今回は、事前に「予算シミュレーションの“自由研究”」として受講生に提出してもらった予算書を見て、井神さんがコメントしていくという形式になりました。

クラシックコンサートや小劇団、海外でツアーをやる場合など、様々なシチュエーションの予算書が十種類ほど提出されました。この中から、受講生がどのようなテーマで予算書を作り、どのような工夫が生まれや、どんな課題が残ったのかを、三つほど紹介したいと思います。


・大学生だけで公演を打ちたいAさんの場合(学生劇団の公演)
[テーマ]
・学生劇団が初めて学外の劇場で公演を打つ。
・資金がないので、なるべくお金をかけず、且つ赤字の出ない公演にしたい。

[そのために]
・なるべく劇場費の安い劇場を探す。
・台本はデータで送り、各自で印刷してもらうので、台本印刷費を予算に計上しない。
・衣装、小道具をなるべく持ち寄りにして、予算を必要最小限に抑える。

[課題]
・学生劇団の場合、チケット販売は役者が友人に手売りするのがほとんどなので、チケット料金を高く設定できない。(チケット収入が少ない)
・電気代も別途かかるのだが、公演でいくらの電気料金がかかるか分からない。

[井神さんからのアドバイス]
・劇場は想像以上に電気代がかかるので(特に舞台照明)、きちんと調べておかないと計算以上の出費が出てしまう。
・劇場は値段の安さだけに注目せず、その劇場にその公演に必要な設備・機材があるかも視野に入れて選ぶ。そうしないと、劇場費を節約しても、かえって機材費がかかる場合がある。


・長崎に劇場を持つBさんの劇団が都市に進出する場合(長崎―大阪公演)
[テーマ]
・劇団の認知度を上げるために、長崎以外でも公演を打ちたい。

[そのために]
・長崎の公演は持ち小屋で行い、劇場代・稽古場代をかけない。なるべく黒字になる予算計画を立て、大阪公演の費用に充てる。
・「大阪公演応援」と銘打ったTシャツを物販用に作る。
・大阪公演の集客を増やすために、大阪の役者をキャスティングする。
・長崎~大阪間の交通費は、劇団員に一部負担してもらう。

[課題]
・大阪公演では広報などの制作業務を外部に委託したいが、どの程度予算を割けばいいのか分からない。

[井神さんからのアドバイス]
・物販としてのTシャツは、売れ残って在庫を抱えたときにかさばり管理が大変なので、発注数や価格は慎重に検討したほうが良い。
・初めて公演する土地では、その土地の事情に詳しい人(地元のイベンター、制作者など)を探し、業務を委託したほうが宣伝・広報、チケット販売などがスムーズに進む場合が多い。その際、事前に予算や委託内容を綿密に打ち合わせして支払う金額をはっきりさせておくと良い。


・東京を拠点とするCさんの所属劇団が、10年後に地元で凱旋公演を行う場合(東京―秋田公演)
[テーマ]
・所属劇団が10年間で活動規模を拡げたと想定。
・活動拠点の東京と、地元の秋田でツアーを行いたい。

[そのために]
・地元で活動を始めた頃と同じように、できるだけ大道具を減らして輸送コストを削減。大道具の費用は衣装や小道具に回す。
・秋田公演では、地元の助成団体から助成金を得る。
・劇団員の実家に宿泊して費用を削減する。
・Tシャツや台本などで物販収入を得る。

[課題]
・制作委託費(当日運営)が交通費のみ
・物販用グッズの製作費と販売価格を同じにしてしまった。

[井神さんからのアドバイス]
・10年後、今よりも大きな劇場で上演するなら、チケット代は劇場の規模に応じて値上げして収入を増やしていくことになるだろう。
・物販の価格や発注数は検討が必要だが、台本は公演資料として広報や営業に使うことができるので、多めに印刷しておくと後々役に立つことがある。


提出された予算書は、私にはどれもきちんとしたものに見えたのですが、予算書を作った本人達は、まだまだ課題が残っていると感じているようでした。井神さんは各人の課題に対してとても丁寧にアドバイスしていました。

今回の井神ゼミでは、仙台や長崎、関西圏など、東京以外で主に活動している制作者が多く受講しているのですが、地域によって公演を行う環境が違うのが印象的でした。
例えば、「京都の劇団は無料で使える公共施設で稽古をするので稽古場代がかからない」、「公共ホールによっては、公演のチケット代によって劇場費が変動する」など、その地域の特色が予算書にも表れていると感じました。また、その地域の特色をうまく利用するのもテクニックの一つなのだなと思いました。

さて、井神ゼミも次回で最終回です。次回は、プレイガイドの話と、資金繰りに関しての話をみっちりしてくれるようです。最後はどのようなお話を聞かせてくれるのでしょうか。楽しみです。(石井)

こんにちは。事務局の斉木です。第一回ゼミのレポートは新入社員・石井がお届けしましたが、偶数回は私がレポートしてまいります。どうぞよろしくお願いします。

前回のゼミでは、「団体や公演の目標を見極めた予算策定」や、「関係者を満足させられるお金の使い方」について学びました。第二回は、ゲストの植松侑子さんから海外公演の予算組に関するレクチャーを受け、前回の説明も踏まえて、様々な公演形態の予算を少人数のグループワークで作成していきました。


《海外公演の予算組レクチャー》
前半は、植松さんの作成した「ソウルのフェスティバルに招聘された日本のダンスカンパニーが、日本で上演した作品を再演する」という設定のモデル予算を使って、海外公演特有の収入・支出項目や、注意点を見ていきました。

今回のモデル予算では、フェスティバルからの上演料と渡航費などに対する助成金が収入源で、チケット収入は全てフェスティバルの主催団体へ入る設定になっています。もちろん、招聘ではなく完全な自主公演として海外公演を行う場合は、現地でのチケットの売り上げが収入源になります。

海外公演の場合、特に注意しなければならないのが「税込価格か、税抜価格か」ということです。海外公演を行う場合、税率が約20~30%かかります。もし、上演費として支払われる金額が税込み価格であるにもかかわらず、税抜き価格と勘違いをしていると、予定よりも収入が大幅に少ないということになってしまいます。仮に上演料が税込100万円なら、税金は20~30万円にもなりますので、よく確認する必要があります。
会場や舞台に関する支出では、日本にしかない機材を現地に持ち込むことや、字幕を作成して舞台上に表示する必要があることなど、作品に合わせて考慮に入れておかなくてはなりません。

また、国内でもツアーなどで自宅に帰ることができない公演の場合に、スタッフや出演者に支払う「日当」もポイントです。受講生からも、日当に関する質問が多く上がりました。具体的な金額については、ツアー先の物価にもよるので一概には言えません。今回は収入源が上演料と助成金という設定ですが、上演料や助成金は公演の後に支払われるものですので、ツアーの当日に関係者に支払おうとすると、カンパニーが立て替えなければなりません。それができるかどうかはカンパニーの経済状況によりますが、少なくとも、後日に支払うということにするならば、現地での生活に関わることですから、事前に関係者に伝えておくべきだと植松さんは言っています。


《グループワーク》
後半は、第一回と、今回の前半を踏まえて、予算をシミュレーションしました。
受講生が三つのグループに分かれて、三種類の公演の予算をそれぞれ作っていきました。

一班 ある政令指定都市の演劇祭に東京から参加する
(ジャンル:ダンス、出演人数:4人、日程:土日2回)

優秀な作品には、次回の公演資金が贈られる演劇祭への参加です。
1時間の話し合いで考えられた支出合計は約45万円。交通費はカンパニー持ちですが、宿泊費は出演者の自己負担。稽古にかかる費用や、スタッフへの報酬も最小限に抑える緊縮財政です。一方収入は、動員数が総客席数の8割と考えても約40万円。5万円ほどの赤字になります。他地域から参加するカンパニーですので、実際の動員数はさらに厳しいかもしれません。
この公演のみを考えると厳しい経済状況ですが、賞金をどう考えるかということも大きなポイントになってきます。賞金を勝ち取って、翌年も演劇祭に参加することが最大の目的なら、赤字も是ということになります。

二班 東京の公共劇場(収容人数約200人)で単独公演
(ジャンル:演劇、出演人数:10人、日程:2週間)

小劇場の公演としては、やや規模の大きな公演です。
話し合いで算出された支出の合計は約400万円。これに対し、収入が約930万円と、かなり多めです。この班のメンバーによると、「期間が2週間と長い分、大きくなる収入をどのように使うのか、それで本当に収支が合うのかということをシミュレーションするには、もう少し考える時間が必要だった」ということです。
「何に、どのくらい使うべきか」、「メンバーをどのように満足させるか」ということは、一回目のゼミのキーポイントでした。実際には、やったことのないような大きな公演にいきなり挑むことはめったにないと思いますので、経験を踏まえ、時間をかけてシミュレーションしていけば、現実的な公演予算を組むことができそうです。

三班 ヨーロッパ三か所を回るツアー
(ジャンル:演劇、出演人数:6人、演出家:1人、舞台装置あり)

舞台装置を運びながら、ドイツ、オーストリア、ハンガリーの三か所を回るツアーということで、今回のグループワークの中では、最もおおがかりな予算シミュレーションになりました。
支出は約670万円。対して、各国で支払われる上演料をベースにした収入は約550万円。120万円ほどの赤字になりますが、この分は助成金を申請してカバーしたいとのこと。もし、申請が通らなかった場合は、出演者から1人20万円程度の参加費を徴収することになるのだそうです。
移動日や仕込み日、オフの日も盛り込んだスケジュールが大まかに立てられ、飛行機と鉄道を使い分ける工夫もなされており、現実的な数字だといえそうです。


国内なら国内ならではの、海外なら海外ならではの事情が発生することだと思います。今回は、特に海外公演特有のお金の使い方や、シミュレーションに重点が置かれましたが、状況に合わせて、目的を達成するためのお金の使い方を考えるという基本の部分は、国内公演と変わりはないのだと分かりました。
最初に植松さんにお話しいただいた「海外公演の税率」のような知識を得ることや、配慮すべき点を押えることは、経験者に尋ねたり、自ら経験を積んだりすることでしかクリアできないと思います。けれど、グループワークを行うことで、メンバーから知識を得たり、別の視点を取り入れたりすることで、予算の精度を上げていくことができそうです。

次回までの課題として、受講生には「予算シミュレーションの“自由研究”」が出題されており、この“自由研究”は、次回ゼミ内で発表されます。受講生それぞれの活動に応じた予算の組み方や、いろいろな視点を知る、とても刺激的な回になりそうです。(斉木)