ある売薬をしている患者さんの話です。

彼は、きつい「頭痛」と「肩こり」を持っていました。

しかし、来院時には

「肩こりや頭痛があるけど、3日ぐらい寝なくても仕事が出来る!!」

「全然疲れない!!」

などと言っておられました。

そこで、色々検査をしたら

やっぱり、おかしい。

神経系がすべて緊張状態になっている。

「これは元気なのではなくて、すでに脳や神経系は疲れていますよ。」

「しかも、かなりのレベルです。」

と私。

「いまは、火事場の馬鹿力で動いてるといっても良いでしょう」

といいました。

「いや大丈夫です先生、バリバリですわ!!」

てな感じです。

彼は、自動車で遠方を回って商売をしていますから

事故が心配でした。

「交通事故には、気をつけてくださいね」

私は、念を押しておきました。

それから、しばらく行商にでて、

やっぱり起きました。

交通事故です。

しかもこれが非常に興味深い(?)といったら不謹慎ですが

興味深い事故です。

彼は、道路脇に駐車していたトラックの後ろに突っ込んだのです。

しかも、前にトラックが駐車している事は、見えていたと言います。

私:「それで、ブレーキを踏まなかったの??」

患者さん:「はい、踏まなかったです」

私:「トラックが見えていたのに??」

患者さん:「はい、見えていたのですが、何故か、踏まなかったのです。」

それで、ノーブレーキでトラックに突っ込んだのですが

奇跡的に命に別状ありませんでした。

もちろん、「むち打ち」ですが。

何故、見えているのにブレーキを踏まなかったのでしょうか?



それは「脳」が、疲労により認識能力を失っていたからです。

そうです、火事場の馬鹿力が終わったのです。

脳のガス欠です。

ある意味、脳は部分的に睡眠に入っていたとも言えます。

こんなおかしな事が、脳の疲労によって起こるのです。

元気は、興奮していただけで

本当の元気ではなかったのですよ。

皆さんも、心当たりありませんか?