前回の続きです。

一般の患者さんは、知らないと思うのですが

日本の漢方と現在の中国の漢方(?)は,違うものです。

現在の中国の漢方(?)は、

「中医学」

と言いまして、厳密には漢方ではありません。

それで漢方(?)としたわけです。

「なに?、中国で生まれたから漢方ではないのか?」

と仰る方もいるでしょう。

でも違います。

中国は、共産主義化のあとの文化大革命の際に

伝統的なものはすべて悪しきものであるので

排除すべしと言う運動です。

漢方医学さえ排除しました。

漢方医はもとより、

漢方の医学書でさえ、禁書として焼き捨てたのですから

凄まじいものだったのでしょう。

もちろん漢方医の一部は、国外に逃げたでしょう。

現在、古来からの純粋な漢方医学を継承しているのは

昔に漢方を学んだ国、つまり

韓国や東南アジア、そして日本と言うことになってしまったのです。

いまは、中国を資本経済に導いた

鄧小平氏によって、それらを反省し改められて

伝統文化を大切にしているようですが

一度失ったものは、元に戻せません。

そこで、現在る「中医学」は、西洋医学に

漢方医学の残骸とも言うべきエッセンスを注入し

成立しています。

ですから、純粋な「中国の伝統医学」と言うより

近代の医学をもとに、漢方のエッセンスを利用して

再生した漢方と言えるでしょう。

いままで、日本で「漢方」といわれていたものは

中国の古代からの「伝統医学」をもとに日本で発達した固有の伝統医学です。

古代の中国でも、自分たちの伝統医学を「漢方医学」とは言いませんでした。