未来は、望むだけでは起こらない。そのためには、いま意思決定をしなければならない。いま行動し、リスクを冒さなければならない。必要なものは、長期計画ではなく戦略計画である。必要なことは、まず戦略計画と言えないものを知ることである。
-マネジメント・エッセンシャル版P37-
今回は、経営戦略についてです。
一般的な企業が行っている戦略とは異なるイメージを持たれるかもしれません。
経営戦略と聞くと、
どのように戦ってどうやって儲けるかがカギとなりますが、
より広い視点で捉える方が良いでしょう。
ドラッカー自身、
経営戦略については独自のイメージを持っています。
今回は、これをご紹介します。
4つのNOTについて、お伝えします。
①長期計画ではない
②予測ではない
③未来の意思決定ではない
④リスク回避ではない
②予測ではない
③未来の意思決定ではない
④リスク回避ではない
①長期計画ではない。
長期計画は、戦略を考案した後に実行に移すために策定されるものです。
本質的に、戦略とは異なります。戦略とは"思考"です。
決まった手法やプログラムで導き出せるものではありません。
②予測ではない
未来の予測は不可能である前提に立ってください。
10年前に想像した未来が現在と同じ状態になっていたでしょうか?
未来なんて誰にも予想ができません。企業の役割は、可能性を作ることです。
余談ですが、仲間内で「これから何が儲かる」
なんて話をしているようでは、戦略を作る思考法は身につけていないと思ってください。
戦略家の仕事は、未来の予測ではなく、未来の可能性を広げることです。
勘違いしないように!
③未来の意思決定ではない
「予測ではない」と近いです。「将来何をしようか♪」と考えるのではなく、
将来のために今するべき事を決めないといけません。決断力がある人は、ここが半端ないです。
先の事をある程度予測をして、今必要なことを決断します。決断は未来形ではありません。
I will decide!はNGです。I've decideが正解です。
④リスク回避ではない
リスクを回避する手段が戦略であるならば、それは間違いです。
この観点から言うならば、リスクを負って、それ以上のリターンを得るのが経営戦略です。
リスクゼロの戦略は存在しないと考えたほうがいいでしょう。
以上より、ドラッカーの視点を踏まえるならば、
戦略とはこのように定義ができます。
①リスクを伴う意思決定を行い、
②その実行のために体系的な組織活動を行い、
③期待した成果と実際の結果を比較する。
②その実行のために体系的な組織活動を行い、
③期待した成果と実際の結果を比較する。
それぞれについて説明をします。
①で重要なことは、
するべき仕事とするべきでない仕事をキッチリ決めることです。
あえてこの仕事は不要だ!と決めるのも立派なリスクを伴う意思決定になります。
こんな仕事はバッサリ切りましょう。
・顧客に価値を与えない仕事
・自社のリソースでは達成できない仕事
同時に、何が必要であるかが見えてきます。
そして②です。やるべき仕事が明確になれば、
そこに自社のリソースを集中的に投下することです。
例えば、既存の顧客に商品・サービスの供給が追いつかないのであれば、
プロモーション活動をピタッと止めるべきです。
「今やっている場合じゃない!」という事です。
供給部・顧客窓口・営業部・広報部は直ぐに連携を取らないといけません。
最後に③です。ここは検証作業です。
リスクを伴った意思決定により期待した成果が得られたなら、
戦略は成功したと言えるでしょう。
失敗を放置してはいけません。
仕事を割り当てた人に対して責任を明確にすることも重要になってきます。