伊坂幸太郎「魔王」です。



魔王 (講談社文庫)/伊坂 幸太郎
¥650
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裏表紙より


「会社員の安藤は弟の潤也と二人で暮らしていた。

自分が念じれば、それを相手が必ず口に出すことに

偶然気がついた安藤は、その能力を携えて、一人の

男に近づいていった。


五年後の潤也の姿を描いた「呼吸」とともにつづられる

何気ない日常生活に流されることの危うさ。

新たなる小説の可能性を追求した物語。  」




ひときわ気になるタイトルの、伊坂氏の代表作

「魔王」です。

本書は、自分が念じた言葉を、相手にしゃべらせる

能力を持った兄についての物語。

彼は、一世を風靡しそうな若き政治家・犬養に対し

危機感を持ち、その能力で世界を変えようと試みました。


5年後、弟の潤也も、他の人間とは少し違う特別な

「賭け事に勝つ」という能力を得て、兄と同じように

世界を変えようと試みます。


兄の物語「魔王」と弟の物語「呼吸」の二本立てと

なっています。2本で完結という形ではなく、登場人物

はかぶりますが、ほとんど別のお話ではあります。


特別な能力を持った兄弟というところは、ものすごく

期待感のある出だしではありましたが、題材が、政治

憲法9条の改憲、国民投票といった社会派な内容で

違和感があり、うまく生かして物語につなげるのか、

と思いきやそんなこともありません。

特に「呼吸」の終り方はひどい。


とおもったら「モダンタイムス」に話がつながっているようで。

魔王の50年後が舞台だそうです。

これまでに読んだものよりはさくっと読めて、中盤までは

楽しかったですが、終盤の締めについては異議あり、です。



オススメ度 ☆