こんにちは、NYで役者やってます、まみきむです。

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前回のお話:グーグルマップの復讐?!(1)

方向音痴の私は、グーグルマップに頼り切り…ところがある時、知らない土地で、そのグーグルマップに従って歩いて行くと、いつの間にか高速道路を歩いていた…

いつのまにかマンハッタン・ブリッジ?!

歩いていたのはあくまで歩道で、車との間には十分な距離があったとはいえ、やはり高速道路を歩くのは恐い…だからバイクレーン(自転車専用道路)に移ると、本当にホッとした…グーグルマップによると、方向はあっており、このまま行けばちゃんと地下鉄の駅に着くようだ…さっきはグーグルマップを信用しなかったが、この時は、全面的に信用していた。

バイクレーンも、高速道路ほどではないものの、時々猛スピードで自転車が傍を通って行くので、中々気が抜けない…それに自転車専用道路を歩行者が歩くのは、本当は多分…マズいんじゃなかったっけ?

 

しかし、私に他の選択肢はない…とにかく、このまま5分も歩けば駅に着く…はずなのだが、ほんとうにそうか?何だかだんだん街から離れていくような気がするし、それになんかやけに上り坂になってないか?

グーグルマップによると、そろそろこの辺りなのだが…と、ふと顔を上げて周りを見回すと…駅は、はるか下の方?!なんと、いつの間にか私は橋の上にいるではないか?!

一体いつの間に橋の上に来てしまったのだ?…猛スピードですれ違う自転車と、引きずるスーツケースに気を取られるあまり、あまり周りを見ていなかったのも事実だが、何よりも私はグーグルマップを全面的に信頼していたのだ!…しかし、グーグルマップの平面の地図では、高さはわからない…橋の上でも、その下の街中でも、地図上では同じ位置に見えるのだ…

 

もし周りを十分見渡して、ついでに頭上のサインを見ていれば、このバイクレーンはマンハッタン・ブリッジを自転車で渡るためのものだというのは、すぐにわかったはずなのだが、私はグーグルマップ上の青点しか見ていなかった…そして、地図上では、地下鉄の駅は橋のすぐふもとにあるのだ…

 

ひょっとしたら、橋のどこかに下へ降りる道があるかもしれない…とわずかな希望を抱いてしばらく歩き続けたが、そんなものはなく、このままでは川を渡ってしまう…いっそこのまま川を渡って対岸に行くか?…とも思ったが、しかし対岸に着いてから、次の地下鉄の駅まではかなり遠い…それに、何度も言うが、小型スーツケースをコロコロ引きずりながら、バイクレーンを歩いて橋を渡る女…これもまた滅茶苦茶怪しいわ!

 

そこでまた、橋に紛れ込んでしまった地点まで引き返すことにする…と、向かい側から自転車で来る人といきなりご対面…その時私は、とっさに川の方を向いて写真を撮り、「橋からの眺めの写真を撮りたくて、バイクレーンの方に来てしまった間抜けなツーリスト」のフリをする…そんなツーリストだと思われる方が、「20年以上ニューヨークに住んでいるくせに、道に迷っていつの間にかマンハッタン・ブリッジのバイクレーンに紛れこんでしまったアホな地元民」であることがバレるより、まだ恥ずかしくないような気がしたのだ…しかし…十分恥ずかしいわい!

そもそもスーツケースを引きずって、橋の上に居る時点で、すでにかなり怪しいのだ…それに橋からの眺めも…それほどとは…


 

ようやく橋の下に降りたが、地下鉄の駅は、さっき高速道路から、バイクレーンに移った場所からすぐ近くだった…あの時は、とにかく高速道路から逃れ、バイクレーンに移りたい一心で、それ以外のものは見ていなかった…グーグルマップの他には…

 

今思えば、あれは最初にグーグルマップを信用しなかった私への、グーグルマップの復讐だったのかもしれない…