「おっちゃん王国」NTG(大人になりきれないおっちゃん)のブログ -71ページ目

直結していないお話

突き抜けるような青い空の下、大海原にカヌーが一隻。
三人の男が、ゆっくりとオールを動かしている。三人とも、なぜかスーツ姿だ。
「NTGさん、沖縄は初めてですか?」
「いや、若い時に一度だけアルバイト仲間とプライベートで来たことがあります」
明らかに手を抜いてオールを弄んでいた男は、気だるそうに答えた。これ以上、話題を広げたくないのか、視線を遠くへと放った。
「ん?あれって・・・。!!」
止まりかけていたオールが、突然ハゲしく水しぶきを上げはじめた。
「どうしたんですかNTGさん?」
「慌てなくても、島はもうすぐですよ」
二人の男が、慌てふためく男を、優しい口調でなだめにかかった。
「サメ・・・。サメがいます。ほら、アレ!」
男が指差した方向に、直立した三角形が穏やかな波をかき分けて、猛スピードで三人のカヌーに迫ってくるのが見えた。
「はははは。アレ、サメじゃないです。イルカですよ」
「島が、近い証拠です。我々を歓迎してるんですよ」
いつの間にか、当たり一面に、無数のイルカがいた。水面スレスレを華麗に力強く泳ぐ黒光の集団が見える。
カヌーの近くまで来た一頭のイルカは、ゆっくりと体を寄せてきて、水上に顔を現した。男の一人が、そのイルカの頭を撫でてやった。イルカは、甲高い一声を発して、群れの流れに戻っていった。
(うわあ、いいな・・・。あちきも、イルカに触りたいっちゃ・・・)
NTGと呼ばれる男は、恨めしそうにイルカの姿を目で追った。その視線のさらに先には目指していた島がはっきりと姿を見せていた。
鮮やかなグリーンのヤシ林が、青く輝く海に浮かんでいる。三人の男を載せたカヌーは、かなり浅瀬まで辿り着いていた。
「あっ!あれは!!」
NTGは、驚きの声をあげた。
やせ細ったカバのような風体。
グレーのツルッとした表面は、強い日差しをなんなく弾き返す。つぶらな黒い瞳が、NTGを静かに見つめる。


カバゴン。


沖縄にしか生息しない天然記念物たちは、長い手足を動かして、浅瀬をゆっくりと散歩している。カヌーを近づけて、NTGはカバゴンの胴体に触れた。ペタペタの感触がなんともいえない。
カバゴンは、気にも止めず、ゆっくりと離れていった。もう一度、どうしてもカバゴンに触れたくて、NTGは叫んだ。
「カバゴーン!!」

と、ここで目が覚めました。
すでに起きていた嫁さまが、携帯電話をいじっています。
「あちき、なんかネゴト言うてなかった?」
「言うてたよ」
「カバゴーン!って叫んでなかった?」
「うううん。今日は、"法務省、テキトーやな"って言うてた」
「どっかで、カバゴンって言うてない?」
「カバゴンは言うてない。"法務省、テキトーやな"やったよ」
カバゴン・・・。

夢の中の出来事と、現実世界の肉体とは分離されているのが証明されました。
現実世界で、仕事でもプライベートでも法務省なんか一ミリも関係ないのに・・・。
カバゴンもか?
※カバゴンは、わたしの夢の中に実在する生物です。


直結されていないため、今回もオチないです。