「LADYPEAK」#16
黒いビンを受け取った春江は、和代と同じように、軽く一口、飲んでみた。
「ホント。おいしいわ。思っていたより甘ったるくないから、飲みやすいわねぇ」
春江は、残りを全部飲み干して、丁寧にビンをテーブルの上に置いた。
「春江ちゃん。今はなんともないけど、すぐに体がポカポカしてくるわよ」
腕を組んで美しく直立していた和代が、声をかける。
「それに、とても素敵な気分になるの」
春江は、それにうなずいた。
しばらくして、春江は自分の体に変化が起こりはじめているのを感じた。鼓動が強く大きくなっている。血液を吸い込んでは勢いよく吐き出す心臓の収縮運動が、見えているようにはっきりと感じ取れる。
躍動している。
横たわっていた全身の細胞が、一斉に目を覚まし、かつての力を取り戻していく。
桃葉にうながされて、別室に歩いて向かった。地面が押し返してくる衝撃を、足の裏が敏感に感じ取る。膝にかかる自身の体重が軽すぎて、歩き方がおかしくなりそうだ。
別室にあるウォークインクローゼットの扉は開いていた。桃葉は、春江を中に誘導した。
「春江さん、体調が落ち着いたら、そこにかけてある服に着替えてください。脱いだ服は、その紙袋に入れてください。」
桃葉は、春江を残したウォークインクローゼットの扉を閉めた。

