豪中銀、インフレ減速受け下半期まで利上げ先送りか
2011.01.26 14:16
オーストラリア統計局が25日発表した2010年10-12月期の消費者物価指数(CPI)は、上昇率が予想を大きく下回った。
このため、オーストラリアドルは急落し、同国の国債価格は上昇した。
このため、オーストラリア準備銀行(中央銀行)が政策金利を今年下半期まで据え置く可能性は、さらに高まったようだ。
同CPIは、前期比0.4%の上昇、前年同期比2.7%の上昇となった。
ダウ・ジョーンズ経済通信が実施したエコノミスト調査では、鉱業部門への投資の活況で10-12月期CPIは前期比0.7%上昇すると平均的に予想されていた。
同期のコアCPIは前年同期比2.3%上昇し、過去10年で最も低率の伸びを記録した。
これを受けて早期利上げの必要性は低下した、とエコノミストらは言う。
「オーストラリア経済は明らかに、金融引き締めに反応している」と、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアエコノミスト、リキ・ポリジェニス氏は語った。
準備銀行は次回理事会を2月1日に開くが、同会合で利上げを正当化するのは困難だろう、とも同氏は述べた。
インフレの後退を示す今回の統計発表を受け、野村オーストラリアのエコノミストらは、準備銀行の利上げ時期見通しを先送りした。
これまでは0.25%の利上げが実施される時期として今年3月~5月を予想していたが、今回これを同5月~8月に修正した。
準備銀行の報道官は発言を控えている。
金利の上昇を一因に、オーストラリアドルはこのところ米ドルに対しパリティ(等価)を上回る水準まで上昇し、住宅所有者の金利コストも上昇していた。
今回、インフレが緩和したことは、観光や住宅関連といった一部の業界に安堵(あんど)感をもたらすだろう。
ただ、今回のCPIは、クイーンズランド州で発生した大洪水による被害規模の算定作業が始まる中での発表となった。
ANZのエコノミストらは、この洪水が同国の経済成長を押し下げる見通しであり、被害総額は200億オーストラリアドル(199億米ドル)にも及ぶ可能性があるとしている。
被害地域がブリスベーンまで達し、農地が壊滅的な被害を受けた今回の洪水では、少なくとも2万戸の住宅が影響を受けたとされる。
エコノミストらは、国内総生産(GDP)は洪水の影響で合計約1%ポイント下振れする可能性があると指摘している。
オーストラリア航空業界2位のヴァージン・ブルー・ホールディングスは25日、2011年上半期は洪水の影響もあって大幅な減益になるとの見通しを示した。
これを受け、洪水の同国経済への影響は広範囲に及ぶとの懸念が高まった。
2010年10-12月期にCPIの上昇は小休止したが、水害の復興作業に伴い広範な物品やサービスへの需要が全国的に急増することから、インフレの伸びはすぐに加速するだろう。
今回の洪水をオーストラリア史上で最悪の自然災害だとしたスワン財務相は25日、記者団に対し、洪水によってインフレは近く再燃する可能性があると警告した。
「1-3月期には、野菜・果物を中心にインフレが急上昇するのは間違いない」とも述べた。
オーストラリア10-12月期のCPI発表に金融市場は素早く反応し、オーストラリアドルは一時、米ドルに対し0.005米ドル近く下落した。
オーストラリア3年債先物の価格は8ポイント上昇し、94.86で引けた。
金利先物市場は25日遅く、準備銀行が11月まで政策金利を据え置くとの市場予想を織り込んだ水準で推移した。
一方、やはり25日に発表され注目度の高かったナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の住宅価格調査は、ここ数年間の経済成長をけん引してきた住宅市場が軟化している兆候を示した。
調査によると、同国の住宅価格は年末までに0.5%減少する見通しだ。
NABのチーフエコノミスト、アラン・オスター氏は、「準備銀行は、現在の住宅価格動向について非常に満足しているはずだ」と話した。
さらに、洪水被害が判明した段階で、オーストラリア第3の都市であるブリスベーンの住宅価格に対し下落圧力が増す可能性が高い、とも述べた。