今年のバレンタイン。先週、お店からも小さな愛をお届けしたいなと考えてた時、藤本先生から素敵な女性を紹介いただく。その方が、アルバイト先のケーキ屋のチョコレートケーキを勧めてくれて、これも人のご縁とお願いした。昨日、ケーキを受け取りに行くと…私の店同様、そのお店の場所は街の中心部にあるのだが、店構えはケーキ屋じゃなくて呉服屋?危うく見過ごしてしまうとこだった。あれ?どこかでこの店を見たと記憶する…震災後のある番組で「Smile for Birthday」と言う、被災地で誕生日を迎える子どもたちにバースデーケーキをプレゼントする復興支援を取り上げてた、あの時のケーキ屋さんだった!! 気にかけてはいたが、このタイミングで出会うとは。元々、オーナーの橋浦さんにはいつか実現させたい、ある想いがあったという。それは、「ある程度店が軌道に乗ったら、さまざまな理由で親をなくした子どもたちや施設にケーキを無償で届けたい」ということ。先日の小山ロールのパティシエの夢のよう。そこへ友人である、あの有名なスコップ団の平さんの声がけもあっってケーキを配り始めた。最初の届け先は、津波で母親を亡くした一人の子ども。サプライズでケーキを受け取り、恥ずかしがりながらも喜んだ表情が忘れられないと、番組で語っていた。ケーキではなく、温かなおもいを届けたいと。まもなく震災から二年。女川で和菓子の職人だったお父様の影響か、日本人がホッとする和心を取り入れた「九ニ四四」のケーキをこれからも応援していきたいと思った。
このところ風邪なのかよくわからないが怠い。これも老化か。そんな時はやっぱり薬草酒をいただきゆっくり休むに限る。作家の石川淳も、「文学談断片」というエッセイのなかで、シャルトリューズ・グリーンへのすばらしいオマージュを綴っているのでご紹介しよう。
「こういふものを二杯以上のむバカはない。その一杯か二杯にしても、立ちながらにぐっとあふったのではなんの変哲もない。焼酎でものんだはうが気がきいてゐるだらう。ただそこに居ごこちのわるくないソフアがあって、目のまへに大きいガラス窓があって、窓の外は巷のけしき、巷にはさみだれが霧のやうにふっていたとすれば、ひとりでゆっくりたのしむために、しぜんゆっくりのむことになるが、シャルトルーズの青といふ酒はぴったりにして、今日は知らず、以前はそれが適してゐたやうである。このとき、その場に身を置くと、しゃれにのむといふ料簡はすでにしゃれといふものですらなく、ほんの一杯か二杯に時間はたちまち止まって永遠にひとしい」
シャルトリューズとは、フランスを代表する美しい薬草酒である。その一杯で、時間が止まって素敵な夢を見れるなら…私は、そんな幸せな味をこれからも追求していきたい。
このところ風邪なのかよくわからないが怠い。これも老化か。そんな時はやっぱり薬草酒をいただきゆっくり休むに限る。作家の石川淳も、「文学談断片」というエッセイのなかで、シャルトリューズ・グリーンへのすばらしいオマージュを綴っているのでご紹介しよう。
「こういふものを二杯以上のむバカはない。その一杯か二杯にしても、立ちながらにぐっとあふったのではなんの変哲もない。焼酎でものんだはうが気がきいてゐるだらう。ただそこに居ごこちのわるくないソフアがあって、目のまへに大きいガラス窓があって、窓の外は巷のけしき、巷にはさみだれが霧のやうにふっていたとすれば、ひとりでゆっくりたのしむために、しぜんゆっくりのむことになるが、シャルトルーズの青といふ酒はぴったりにして、今日は知らず、以前はそれが適してゐたやうである。このとき、その場に身を置くと、しゃれにのむといふ料簡はすでにしゃれといふものですらなく、ほんの一杯か二杯に時間はたちまち止まって永遠にひとしい」
シャルトリューズとは、フランスを代表する美しい薬草酒である。その一杯で、時間が止まって素敵な夢を見れるなら…私は、そんな幸せな味をこれからも追求していきたい。