先日のNHKテレビ「旅のチカラ」という番組で、糸井さんがアラン諸島を訪れていた。震災復興のために気仙沼で編み物産業を育成している糸井さんであるが、そのヒントを求めての旅とあって、興味深く観た。アラン諸島は石灰岩でできていて、土壌が薄いために耕作はほとんどできない土地だ。掘っても掘っても、岩しか出てこない。住民たちは、その掘り出した岩を丹念に風よけに積み上げて、耕作地や放牧地を造成していった。その景色は、言葉は悪いが瓦礫のようだと。しかし、その島で、人々は生き抜く知恵を見出す。その一つがかの有名な「アランセーター」である。番組ではこの「編みもの」を通して、これからの時代の「幸せ」を見つけるというテーマと向き合う。このフィッシャーマンズセーターは柄のぶん分厚くなるので暖かい。柄にも様々な意味があって、絡み合ってる柄は家族を表す、はじご柄は天国へ行くはしご、漁師網の模様の中には豊漁を表す柄、等々。1枚編むのに200時間かかるものも。しかし、現在ではここアラン諸島でさえニッターは現在6人しかいないらしい。化繊が登場し、流行遅れ、時間がかかるなどその理由であるが、何処か寂しい感じは拭えない。モノのやりとりとか、金のやりとりではない、ひとの思いのやりとりが希薄になりつつあるのは、ここ日本だけではないようだ。
私は、編み物は得意な方じゃなくて、真っ直ぐに編むマフラーは突然何かに取り憑かれたように思い立ったように編んだりしたけど(笑)振り返ると、晩年、家に閉じこもりがちになった、編み物が大好きな叔母ちゃんを元気づけるために、休日に足を運んで難しいセーターを教えてもらい、たった一度だけ子供のためにセーター編みに挑戦したことがあった。子供の好きなウルトラマンの模様がなかなかうまく仕上がらずに、何度も何度も網目をほどきながら、約一ヶ月を要した。にもかかわらず、子供は成長が早いので、二歳の冬に数回腕をとおしただけ、綻ぶことなくそのセーターは今ではタンスの奥に寝ている。時に断捨離をしても、なぜか、ひと編みひと編みの思いが染み込んでいるこのセーターを捨てられずにいる。そのセーターを手に取る時、今は亡き叔母ちゃんとの愉しい会話が蘇り、懐かしむ。
確か「アラン島」という本を読んだことがあったけど、作者を忘れた。アラン島にはたった一つの蒸溜所がある。創業者のハロルド・カリー氏は、長年ウィスキー業界に精通していて、自分の蒸溜所を持ちたいという夢をかなえるため、この地に蒸溜所を建設した。アランウィスキーを一口嗜む。喉に残る微かなピート香に、自然の厳しさと、そこに生きる人びとの慟哭が込められているように感じた。 私ができることは、こうしたお酒の文化や楽しみ方を伝えることだろうか。会話を通じて、素敵な人間の繋がりを日々編んでいけたらいいなと、昨晩は夜空に輝く星たちにちらっと願ってみた。来週は七夕祭りである。
私は、編み物は得意な方じゃなくて、真っ直ぐに編むマフラーは突然何かに取り憑かれたように思い立ったように編んだりしたけど(笑)振り返ると、晩年、家に閉じこもりがちになった、編み物が大好きな叔母ちゃんを元気づけるために、休日に足を運んで難しいセーターを教えてもらい、たった一度だけ子供のためにセーター編みに挑戦したことがあった。子供の好きなウルトラマンの模様がなかなかうまく仕上がらずに、何度も何度も網目をほどきながら、約一ヶ月を要した。にもかかわらず、子供は成長が早いので、二歳の冬に数回腕をとおしただけ、綻ぶことなくそのセーターは今ではタンスの奥に寝ている。時に断捨離をしても、なぜか、ひと編みひと編みの思いが染み込んでいるこのセーターを捨てられずにいる。そのセーターを手に取る時、今は亡き叔母ちゃんとの愉しい会話が蘇り、懐かしむ。
確か「アラン島」という本を読んだことがあったけど、作者を忘れた。アラン島にはたった一つの蒸溜所がある。創業者のハロルド・カリー氏は、長年ウィスキー業界に精通していて、自分の蒸溜所を持ちたいという夢をかなえるため、この地に蒸溜所を建設した。アランウィスキーを一口嗜む。喉に残る微かなピート香に、自然の厳しさと、そこに生きる人びとの慟哭が込められているように感じた。 私ができることは、こうしたお酒の文化や楽しみ方を伝えることだろうか。会話を通じて、素敵な人間の繋がりを日々編んでいけたらいいなと、昨晩は夜空に輝く星たちにちらっと願ってみた。来週は七夕祭りである。