このことが長い長い夢であってほしい 明日の朝、目が覚めたら「おはよう~」と一緒に食卓を囲む父の笑顔に安堵して、この長かった夢の話をしてあげよう・・・ 昨年、父の葬儀の際に願ったこと でも、叶わなかった もう二度と父と会うことができないのだという、この現実をようやく受け止めることができて、母とチョコとの暮らしの中に笑い声が聞こえるようになったころに、あの震災が起きた もしかしたら、この恐ろしい体験も夢であったなら・・・ ふと気が付くと、季節は寒さを増してきて、そして今夜は、またひとつ哀しいお知らせがあります 私がお店を始めてすぐのころ、ある晩、前の仕事仲間が、ひとりの紳士を紹介してくれました 一目会って驚いたのは、その方の透き通るような澄んだ瞳 心が洗われるような静かな語り その方とは、ミニマムのオーナーである、山田さん その後、一週間に数回顔を出してくれて、ご自身の独立のときの(山田さんは小学校の先生を辞め、今ではここ仙台で老舗となるカレーのミニマムを開業された)心構えや失敗談等、時にジョークを交えながらお話してくださり、不安だらけの当時の私を陰ながら支えてくださりました 今でもあの時の光景が浮かびます 私にとってかけがえのない貴重な時間でした 一番こころに残っている言葉は「君子之交淡若水」(くんしのまじわりはあわきことみずのごとし)淡々とした付き合いは一見さめたように思われがちですが、必要以上に相手に口出しをしない、相手を尊重した付き合いです そういう付き合いは飽きがこないので長続きしますよ~という意味で、どちらかというと情に脆い私を見抜いてか、それは客商売の基本であると山田さんは訓えてくれました その後、息子の山田君にミニマムも呑みもバトンタッチ 素敵な女性と再婚をして、日々断捨離をして・・・とのお話は山田君からの情報で、お元気なら何よりと思っていたところの突然の訃報でした このお話も夢であったなら・・・ 齢を重ねると夢であってほしいことばかりが増えて仕方がありません 山田さんとのご縁のお蔭で、私はこうして今もお店を続けております 最後に、ありがとうございましたと一言お伝えしたかったです 山田さんから頂いた手作りのカレンダーは、生涯大切に致します 合掌 今夜は献杯を・・・