とおい昔のSF小説とは・・・ その記憶をずっと辿れば小学校の頃、昼下がりの図書室でその本と出合った タイトルは「怪奇・帰ってきた死者」だったかな?お話は、老夫婦と一人息子の3人家族 ある日夫が、どんな願いでも3つだけ叶えてくれるという「猿の手」を入手する 半信半疑ながら夫は「大金をくれ」と願う その日、息子が勤務先の工場で事故死、会社が持ってきた補償金は夫が願った金額と全く同額だった 悲嘆にくれる夫婦 思い詰めた妻は猿の手に「息子を生き返らせて」と願う そして嵐の晩、生きる屍と化した息子が墓場から甦り、家のドアを叩く 入れようとする妻と、入れまいとする夫 夫は猿の手を持ち「息子を死人に戻してくれ!」と叫ぶ 妻がドアを開けるとそこには誰もいなかった・・・ 物語を忘れかけたころに、それをTVドラマ化した「オーソン・ウェルズ劇場」を観た あのときのなんとも言葉にならない恐怖が再び蘇る、とおい昔のことだけど 福島の原発事故はどこか猿の手のおはなしに似ている 原発でひと儲けしようとひとの力の及ばない核なるものに願いをかける 願いは叶って便利な社会と多くの富を手にするがそこへ想定外の大震災 願いは残りひとつ・・・ もうひとりのウェルズとくれば代表作「解放された世界」 H・G・ウェルズによって1913年に書かれ、第一次世界大戦開戦が始まった1914年に刊行され、今日でも依然として話題となっている書に今回の原発事故のヒントが秘められているかも 当時、原始モデルがまだ存在しなかったことを思えば、彼の先見性、さらに洞察力に、ただただ驚異の念を覚えるのみである 人々を支配するには、恐怖という感情を利用するのが一番だということを改めて思い知らされる パニックに陥ると人は2歳児程度の知能しか発揮できなくなるといい、どんな人も正常な判断ができなくなる そこへまともな状況では考えられない不利な選択肢を人々に選ばせて支配するという、怖~い物語である 風評被害はかくの如し この危機を乗り越えるために、どうか冷静な正しき判断を・・・