やっと春が来た・・・そんな昼下がりに、東京の友人から送られた娘への支援物資を受取、今から山形へ向かうという目黒さんを引きとめ、蕾の桜に囲まれた錦町公園で無事の祝宴をささやかに そんな、しあわせな時間が数週間前まではそこらじゅうにあったのに・・・「朝、サイゼリヤでお年寄りが1人でゆったりと1杯100円のグラスワインを楽しんでいる姿を見ました 40年間、目指してきた(おいしい食事)が日本でやっと実現できた、と思いました」と語るのはサイゼの正垣会長である 先日、彼のインタビューを読んだ 一号店が全焼してしまったとき彼のお母様は、「火事だなんて、それは良かったね、サラリーマンとしてやり直すのもいいけれど、一番いいのは、その店をもう一度やり直すことだよ。おまえのためになるように、自然が、そういう出来事を起こしてくれたんだからね」と一言 次のお店の立地が悪いとなげいたときも「階下に八百屋さんがあるから、工夫が必要なんだよ。場所のせいにしないで、野菜を飛び越えてでもお店に来てもらえるにはどうしたらいいか考えなさい。」そして「人間は、死に向かってずっと歩いていくから、いろんな苦しみがあるんだよ。」と息子を最後まで励まし続けたという母の言葉は、彼の人生のスピリッツとなったという そんな素敵なお話も今はまだこころに響かない もうすこし時が流れれば・・・あの蠟燭の灯りで夜を明かしたこと ラジオの声に癒されたこと 雪の舞う早朝からスーパーに息子と並んだこと そんなことが、いつの日か懐かしい思い出話に変わるまで 正直、誰かのせいにすれば少しは矛先が出来て醜い感情を出せるけど、天災だから怒りの持って行き場がない このやるせない気持ちをどこへ持っていけばいいんだろう・・・ と、検視のために気仙沼へ行ったケトパンチョスの言葉にそんな苛立ちも消える
家族を捜すひと
外で立ちつくす人
安否情報を見続ける人
家族に会えた人、響き渡る嗚咽
自分を責め泣き崩れる父親
ビニールシートに落ちる涙
続々と運び込まれるご遺体
そんななかでただ歯式をとることしか
できない無力な自分
みなさん愛する人を
大事にしてください