【新・関西笑談】大学改革、かかってこい! | fyの速報ニュース

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【新・関西笑談】大学改革、かかってこい!(1)産経新聞4月15日(月)15時57分配信  □京都経済短期大学学長・岩田年浩さん ■公開できない授業なんてダメ 大学の先生の頭って古いんです。 「授業が上手な教授を育てなあかん」。少子化が進み大学間の生き残りをかけた競争が激化する中で、京都経済短期大学の岩田年浩学長(67)はこう語る。自らも会長を務めたことがある経済教育学会の教授陣らに日頃の授業を一般公開し、お互いの切磋琢磨(せっさたくま)を呼びかける。日本の大学改革とは…。授業の質にこだわる“教育改革者”に必要なことを聞いた。(聞き手 菅沢崇) --昨秋、全国約1000人の経済教育学会の会員(教授)らに、授業の巧みさを競うため「かかってこい」と題した挑戦状をメールで送ったと聞きました 岩田 大学教育の重要性を今一度再確認する上では授業の改善が必要。自分たちの授業を見学してもらい、感想を請いたかったんです。これ、大学では不思議なことにタブー視されてますけど…。全国私立大学の45%が定員割れという現状なのに、大学教員の側には緊迫感が薄い。正攻法で授業とかカリキュラムとかを見て、受験生がこの授業を受けてみたいと思うような改革を教員でやらないと駄目なんです。 --反響は? 反対はなかったのですか 岩田 数人は毎回来られるようになりました。東京から来た先生もおられました。これまで関西の数校で教鞭(きょうべん)をとりましたが、授業の公開など口にしたら、それは教授陣から恐ろしい抵抗ありますわな。自分の授業に自信持つ人少ないし、古いんですよ、大学の先生の頭っていうのは。 --学内でも困惑があったとか 岩田 学生を対象に授業をしたらよいのか、それとも学外者に向くべきかわからないというんです。これは教育を駄目にする議論。人に見せられないような授業、大したことない論文など、やめはった方がよろしい。学内にテロリストが侵入するかもしれんという人もいましたな。結局、オムニバス講義で、先生をかえて15回。会計、経営、情報、経済のそれぞれの専門の先生が色々な角度で話すことで落ち着きました。 --「満員御礼」の垂れ幕が下りる授業はメディアでも取り上げられました 岩田 他流試合を考えたのは32歳の時。授業の仕方がわからないから、他の先生に見せてくださいって言ったらすべて断られました。学生さんにテープレコーダーで録音してもらって研究しましたが、面白くない。日本の大学生は勉強しないっていわれますが、文系の授業は退屈なんです。 --授業に興味を持たせるにはどうするのですか 岩田 まず大事なのは笑顔。それから学生が興味を持つ話をする。例えば最近のニュース。モノの値段が上がるとか下がるという具体的な話には学生が食いつく。それに就職の話。2年前と比べて就職状況がどうなっているとか。こうした“つかみ”や“ほぐし”で学生との心の壁を取り払う。難しい経済学の話でも、例えば『需要供給曲線』だったら、モノを買う人と売る人の2チームに分かれてもらう。そしてこの食パンの値段はいくらが妥当か尋ねる。買う側チームはこの値段で買いたい。売る側はいくらで売りたいってなったとき、この意見をまとめたのが需要供給曲線ですって実感させる。いかにゲームっぽく授業するのかも、時には大事です。                   ◇【プロフィル】岩田年浩 いわた・としひろ 昭和21年京都市生まれ。神戸商科大(現在の兵庫県立大)大学院経済学研究科博士課程修了後、経済学博士を取得。関西大教授や大阪経済法科大客員教授を経て、昨年4月に京都経済短大の学長に就任した。平成20年から3年間、経済教育学会会長も務めた。専門はマクロ経済学、経済成長論、経済学教育論。著書に「教授が変われば大学は変わる」(毎日新聞社 平成12年)、「科学が明らかにした投資変動の予測力」第3版(学文社 21年)など17冊。