新型コロナウイルスの感染拡大と

いう危機が世界を揺さぶり、これ

で覆い隠されてきた問題や課題

各地で噴き出している。目の前

ある危機をどう乗り越え、その

先にどのような世界を築いていく

べきか。日本経済新聞の編集

委員、コメンテーターらの見通し

を、このほど出版した「これから

の日本の論点2020  日本経済

予測」(日本経済新聞出版)から

紹介する。

 

 

 

今回は、日本経済新聞出版の

「これからの日本の論点2020

日本経済予測」から、欧州の

「国際標準化」戦略について

紹介します。

 

欧州の物事の運び方、ルール

作りを優先する官民挙げての

作戦展開は「デジュールスタ

ンダード(国際標準化)戦略」

と呼ばれ、近年、特に磨きが

かかっている。

 

日本経済新聞社の出版物の宣伝

記事に乗ってしまいました。

 

「国際標準化」の運動拠点は昔から

いろいろと欧州にあります。ISO

の本部はスイスのジュネーブにあり

ますし、国際自動車連盟(FIA)

の本部はフランスのパリにあります。

なにかと話題のIOCの本部はスイス

のローザンヌにあります。

 

歴史と伝統と格式、煌びやかな

鎧を纏い居並ぶ騎士の威容と

その裏のドロドロした権謀術数

の世界。

 

そういった古いヨーロッパのあたり

まえに、否応なく引っ張り込まれて

しまう、イヤな感じがします。しか

も、それをなんだかありがたく思

わなければならないような、変な

空気感も感じてしまいます。

 

線引きや、ルール決めはおカネ

が絡むことが相場ですが、正当

性の裏付けがあってこそ、コン

センサスが成立します。昔は

宗教とかだったのでしょう。

 

今の主流は、「脱炭素」です。

でも、欧州にとっても脱炭素を

進めることは負担のはず。

 

たとえば欧州は、アジアや米国

と比べて経済全体に占める製造

業の比率が低く、脱炭素の戦略

を進めやすい。また、年間を通じ

て強風が噴くという地の利があっ

て、北海沿岸の風力発電網を使

い、火力発電への依存度を下げ

やすいというアドバンテージもあ

る。

 

要するに、他国が進めにくい、

あるいは進めたくない脱炭素を

進めることが、欧州の比較優位

を高める原動力となる。それを

熟知しているからこそ、欧州は

「デジュールスタンダード戦略」

に全力を傾け、自らの勝ちパ

ターンに世界を誘導していこう

としているわけである。

 

なにか、チェスの戦略の世界ですね。

 

欧州が「カーボンフットプリン

ト」や「カーボンニュートラル」

などの概念を打ち出し、脱炭

素の流れをつくろうと動き出

したのは15年ごろ。16年に

発効した「パリ協定」までの

2年間と、VWがスキャンダル

の収束を模索した時期はぴ

たりと重なり、混乱のなかに

ありながら、欧州がパリ協定

という舞台装置をゲームチェ

ンジに利用したことがよくわ

かる。

 

記事は結論として、日本はルールを

つくる力、ストーリーテリング能力が

世界を動かしているという時代の変

化を直視しないといけない、と戒める

纏め方をしています。

 

なるほど、世界は良識だけで動いて

いるのではありません。

 

しかし、欧州もおそらく先が見えず

どうしていいかわからない暗中模索

の状況だったと思います。

 

そこで、伝統的な手法に走ってし

まった。おかげで、「脱炭素」を

自分たちの有利に働くコマに貶め

てしまった。声高に「脱炭素」を

叫ぶほど、空々しい感じが付きま

とうことになってしまった。

 

「最善手」ではなかった、と思い

ます。