東京製鉄の現金を稼ぐ効率

急拡大している。2021年

4~9月期の鋼材1トンあたり

のEBITDA(利払い・税引・償

却前損益)は前年同期の1.8

となり、4~9月期ではここ

10年で最高だ。脱炭素を追

風に収益構造が変わりつつあ

り、手元資金は23年3月期に

14年ぶりの1000億円台乗

せを見込む。稼いだ現金で狙

のは高炉の牙城への再戦だ。

 

 

今回は、熱延コイルが好調で、

23年3月期の手元資金が14

年ぶりに1000億円台に乗る

勢いの東京製鉄に関する記事

を紹介します。

 

利益を上げるのが難しい状況

下、なぜ好調をキープできて

いるのか、興味津々です。

 

まず冒頭のEBITDAについて

おおざっぱに言うと営業利益

に減価償却費を加えたもの

なので、設備投資が大きい

企業ほど、営業利益に比べて

EBITDAが増加する傾向が

あります。

 

手元資金は借入が大きいと

当然膨らみます。

 

それらのことを踏まえて東京製鉄

の第2四半期決算短信を見てみま

しょう。

 

現金預金は残高が約215億円で

前年3月末より171億くらい増え

てます。この調子で増えれば、確かに

23年3月末は725億円くらいにな

ります。(170億を3倍して215

億に足してみました。)このペース

だとちょっと足りないので、おそらく

もっとペースが上がる予定なので

しょう。

 

ただ気になるのは、流動負債も

前年3月末より213億くらい増

えてます。一番増えているのは、

支払手形及び買掛金で、90億

くらい増えてます。こっちもこの

ペースで23年3月末に向けて

増えていくのかな。

 

長期借入は3億ほど減ってます。

 

資産勘定の中では、建設仮勘定が

約73億あって21年3月比34億円

くらい増えてます。けっこう、でかい

です。念のため未払金も見てみると、

こっちも89億円くらいあって、21

年3月比約49億円増えてます。

 

おそらく建設中のもので、すでに

支払済みなのが70億円くらい。

これから支払うのが80億円以上

あるということかな。これは想像

です。

 

減価償却費はもちろん分かりま

せんが、販管費は前年の第2四

半期比50百万くらいしか増えて

ないので、急激に増加したとい

うことはなさそうです。

 

ということで、おそらくですが

EBITDAは順調に増加。23年

3月に手元資金1000億円

は、流動負債も現状のペース

で増えれば、ありかも。

 

21年4~9月期(上期)は単独

税引き利益は前年同期の3.1倍の

104億円となった。スプレッド

や鋼材販売が回復した中で目立つ

のが鋼材1トンあたりのEBITDA

だ。前年同期比8割増の約1万

1000円と、直近ピークの15

年を3割弱上回った。

マージンが前年同期比8割増とは、

凄いことです。秘密は、熱延コイル

の売上増と価格上昇にあったよう

です。

 

熱延コイルは条鋼と比べ製造

工程がシンプルで物流費も安

く、利益率が高い傾向がある。

西本利一社長は「熱延コイルが

(H型鋼より)1万円安くても利

益率は同程度」と打ち明ける。

製造工程などでのキャッシュア

ウトが少ない鋼板の販売比率が

高まったことがEBITDAの拡大に

つながった。

そこに価格上昇の波が加わる。

4~9月期の平均販売価格は熱延

コイルが1トン10万3000円

とH型鋼より2300円高かっ

た。熱延コイルの逆転はこの10

年間で初めてで、H型鋼が1万円

以上高かったこれまでとは様変わ

りした。

熱延コイルの販売増と価格上昇は

経済再開だけが理由ではない。

西本社長は「脱炭素の流れのな

かで電炉材への需要が高まって

いる」とみる。

電炉は高炉とは異なり石炭由来の

コークスを使わず、電気の熱でス

クラップを溶かす。製造時の二酸

化炭素(CO2)排出量は高炉の4

分の1ですみ、こうした点が顧客

を引き付けているという。

 

熱延コイルをググってみました。

「熱延」は「ネツエン」と読みます。

金属を加熱してから圧延機にかける

加工法のようです。

 

どうして現金を稼ぐ効率を急拡大させ

ることができるのか、とても不思議で

したが、理由はいたってはシンプルで

利益率の高い商品が、脱炭素の影響も

あって高値でたくさん売れたというこ

とですね。

 

“高炉の牙城への再挑戦”とあり

ますが、キャッシュが潤沢なら

フットワークも軽いです。

 

東京製鉄が今後どんな経営戦略

を展開するのか、ちょっと目が離

せませんね。