指定暴力団山口組(総本部・神戸市)傘下の有力組織、後藤組の後藤忠政(本名・忠正)組長が除籍された問題で、後藤組長に同調する動きをみせた複数の主要団体のトップが相次いで除籍や絶縁とされていたことが17日、警察当局の調べで分かった。また、後藤組長が除籍処分を受けた背景には、山口組が改正暴対法対策として進めるシノギ(収益活動)に関する規制強化方針をめぐる対立があることも判明した。警察当局は今後、情勢によっては抗争に発展する恐れもあるとみて警戒している。

 警察関係者によると、14日に除籍とされた後藤組長は当初、処分に強く反発。これに対し、総本部側は最も重い「絶縁」を科す方針を示したが、その後、後藤組長側が除籍の受け入れを表明。警察当局は、事態は収束へ向けて動き出したとみている。

 だが、「後藤組に同調したとされた複数の組織が除名や絶縁などの処分を受けており、組織内の不満はくすぶったままだ。警戒と監視を継続する」(警察幹部)としている。

 関係者によると、後藤組長除籍の発端は今月8日に総本部で開かれた会合の場だったという。

 この場で、現在の6代目組長の母体である弘道会(愛知県)の最高幹部が、後藤組長が9月に有名歌手を招き、誕生日のパーティーを大々的に開いたことを問題視。後藤組長は強く反発して口論となった。

 警察当局は今回の除籍騒動を「山口組の内部に、執行部に対する不満が充満していることの表れ」と分析している。

 バブル経済以降、「経済ヤクザ」として組織を牽引(けんいん)してきた後藤組長の除籍にまで発展した今回の対立。その背景には、暴対法の改正で組織トップの使用者責任が問われやすくなったことに危機感を強め、傘下組織の収益活動や抗争などに対して細かく規制を強める総本部への批判勢力の存在があるという。

 ある警視庁の元幹部は「山口組全体に『規制が乱発されているのに、6代目組長の出身母体は、ご法度御免とばかりに好きなシノギをやり放題ではないか』との不満がある。後藤組長は従来、シノギや立ち居振る舞いに細かく規制をかける現在の総本部の姿勢に反発していた。同調勢力の表面化で亀裂も明確になった」と指摘している。

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