あなたは、船乗りが言う「海の船底1枚下は地獄」という言葉をご存じでしょうか。
どこかで読んだり聞いたりした事はないでしょうか。
そうです、海の怖さを物語る言葉なのです。
また、「パイロットは空を飛んだら頼れるのは自分の腕2本」という言い方もあります。
航空機のパイロットは船乗りとまた別の分野で、過酷な状況の中で操縦をしているのです。
4月20日深夜に発生した海上自衛隊の訓練中のヘリ事故に、心からお悔やみ申し上げます。
4月21日18時03分に産経新聞 THE SANKEI NEWSが「自衛隊機は過去にも死亡事故が多発 捜索救助や訓練など過酷な飛行条件で運用」の題で次のように指摘しました。
『(前略)
伊豆諸島の鳥島東方海域で20日深夜、訓練中の海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落した。2つのフライトレコーダー(飛行記録装置)が近接した場所で見つかっており、防衛省は2機が衝突したとみている。捜索救助や航空偵察、訓練など、自衛隊機は民間機に比べて過酷な条件の下で運用されるケースが少なくない。過去にも隊員が犠牲になる事故が繰り返されている。
昨年4月、沖縄県宮古島沖の洋上で陸上自衛隊のUH60JA多用途ヘリコプターが墜落した。第8師団長の坂本雄一陸将=当時(55)=ら10人が搭乗しており、全員が死亡。中国の海洋進出など周辺の安全保障環境が悪化する中、幹部らが上空から担当地域を確認するための飛行だった。
陸自が今年3月に公表した事故の調査結果によると、右エンジン内で一時的な異常が生じ、出力が緩やかに低下した。左エンジンは故障発生直後、右エンジンを補うため出力を上げ正常に作動したが、その後何らかの異変が生じ、両エンジンとも出力停止に陥ったと結論付けた。
UH60JAはエンジンが2基搭載されているため、片側に不具合があっても安全に飛行できるとされてきた。陸自は両エンジン停止を想定した教育訓練の実施など再発防止策を取りまとめたが、肝心のエンジンの出力低下原因は特定できなかった。
(以下略)』
一方、世界に誇る海上自衛隊の対潜水艦能力の向上の為、今回の事故で過酷な状況下で訓練をしている実態も改めて指摘されています。
4月23日20時14分に同メディアが「海自ヘリ墜落、能力検証の「査閲」で複雑な状況設定か 通信制限の可能性も」の題で次のように指摘しています。
『(前略)
伊豆諸島の鳥島東方海域で起きた海上自衛隊SH60K哨戒ヘリコプターの墜落事故では、司令官が部隊の戦術技量を確認する「訓練査閲」が行われていた。墜落した2機は情報共有のための通信システム「僚機間リンク」をつなげていなかったが、査閲で与えられた複雑な設定に対応するためだったとみられる。電波の発出を最小限に抑えた隠密行動を夜間に徹底していた可能性もある。こうした積み重ねが世界に誇る海自の対潜能力を支えている。(市岡豊大)
「実際に能力があるかないか検証を行うので、隊員としては十分に気概を持って臨んでいるのは間違いない」
海自トップの酒井良幕僚長は23日の記者会見で訓練査閲についてこう述べた。数年に1回、日頃の訓練の総合力が試されるからだ。
(中略)
電子戦は強力な電磁波で通信を妨害したり、防護したりする軍事活動。艦艇や航空機ごとに異なる電波を収集、分析して効果的な攻撃を行う。
海自関係者によると、場合によってはレーダーの出力を最小限に抑えることもある。夜間の隠密行動で頼みの綱は見張りの目視しかなくなる。
ただ、訓練査閲で複雑な状況設定がされても訓練経験のない行動はしない。ある哨戒ヘリの乗員経験者は「厳しい状況下だったのは間違いないが、どんな場合も目視確認などの基本動作を行っていれば異常接近することはないはずだ」と話す。』
どのように航空機の性能が向上しようと、安全警報装置があろうと、結局のところは人間が造り上げた航空機に搭乗して操縦するのです。
そして、ヘリに搭乗した方は体験されているでしょうが、ヘリは突風等に弱い面もあります。
更に夜間の厳しい環境下での訓練査閲、人里離れた海上での訓練となれば、視認が十分に出来ない事などから、昼間ではあり得ない事が発生する可能性も高まります。
このような過酷な訓練等で、我が日本の安全保障は支えられているのです!!
海上自衛隊の訓練中のヘリ事故にお悔やみ申し上げます
墜落した海上自衛隊の同型SH-60K哨戒ヘリの画像
出典:4月18日公開 防衛省 海上自衛隊 X
今回の墜落事故では米軍も捜索に参加しております。
本当に、有難いです・・・・(TT)。
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