靖国参拝「倫理に反する」 ユダヤ系団体も非難(産経)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131227/amr13122711180006-n1.htm
副所長は「戦没者を含め、亡くなった人を悼む権利は万人のものだが、戦争犯罪や人道に対する罪を実行するよう命じたり、行ったりした人々を一緒にしてはならない」と指摘した。
さらに副所長は、北朝鮮をめぐる情勢が緊迫した中で安倍首相が参拝したことに懸念を表明。「安倍首相が目指してきた日米関係の強化や、アジア諸国と連携して地域を安定化させようという構想に打撃を与える」と批判した。
昨日の安倍首相の靖国参拝に対するアメリカの反応に関し、日本のマスコミの分析があまりにもお粗末なので、少し言及したくなった
興味深いのは、本日、産経系のZAKZAKに掲載された、日本外務省官僚のコメントが入った記事が削除されたことである
その記事には、こう書いてあった
「外務省は、靖国問題を日中、日韓の問題と考えていない。あくまで日米間の問題である」
この見解は、まさにその通りで、靖国問題の本質は、日米関係である
そもそも、日本の民間人を、30万人も空襲と核兵器で殺傷し、日本軍部をドイツナチスと並ぶ侵略国家、人権侵害(差別)国家と認定し、東條英機元首相をA級戦犯として東京裁判で断罪し処刑したのは、ほかならぬアメリカだ
さらに、その後の占領期において、親米保守である自由民主党と、穏健なリベラルである日本社会党を結党させ、55年体制を確立したのも、アメリカだ
靖国がA級戦犯を合祀する原因を作ったのはアメリカであるから、当然、その過去に触れられたくないのもアメリカであることは、バカでもわかる話である
加えて、東西冷戦終結後、急に中国、韓国が靖国参拝を外交問題化し始めたという事実がある
さらに、朝日新聞が社民党元党首と結託し、従軍慰安婦を外交問題に仕掛けたのもこの時期だ
東西冷戦後にアメリカの世界戦略の変更があり、靖国参拝と従軍慰安婦の外交問題化が始まった
この事実を無視して、この問題の本質は語れない
東西冷戦終了(ソ連崩壊)前後で、なにが起こっていたか
1.日米摩擦とプラザ合意
2.日本バブル経済の興隆
3.中国への日米投資の拡大
ソ連との冷戦を終了させたアメリカは、日本を「(経済的な)仮想敵国」にした
そして、それを実行したのがクリントン政権だ
日本のバブル崩壊と、その後の経済の停滞に、日米の金融経済戦争の側面があったことは否めない
アメリカは、日中経済、日韓経済の親密化、東アジアにおける(米国を外した)経済圏の成立を、どうしても防がなければならなかった
それが、クリントン政権の経済的成功と、アメリカの繁栄に繋がっていく
結局、今オバマがなにをやっているかといえば、こういったアメリカの過去戦略の精算だ
戦後、アメリカが作り上げた様々な戦略スキームが、もはや「役立たず」になってきているからである
おそらくオバマの本音は、『日本の55年体制に象徴されるような「古い戦後スキーム」を持ち出すなよ』、ということなのだろう
国家として考えれば、「そもそもあんたたち(アメリカ)が仕掛けておいて、今さらなに言ってんだよ!」という話なのではあるが
私はオバマの気持ちがわからないわけではない
結局、外交(国家間関係)の本質にあるのは、国益(お金)だけであって、あらゆるイデオロギーは民意をコントロールするための材料でしかないからだ
国民に対し、駆け引きをせず、ビジネスライクに国家運営をしたほうが賢明、というリベラルな思考がオバマの根底にある
靖国参拝により、日本国民の民意とマスコミの乖離がさらに明確になった
これはこれで、素直によいことだとは思う
しかし日本も、もう少しビジネスライクに国家運営をしてもいいのではないか?
そう思わなくもない
かといって、マスコミのように、歓喜の声を上げる日本の保守層を批判したくもない
そこに「おめでとう、よかったね」という感情があるのは、間違いなく自分も同じ日本人だからだ