親父亡くなって、独り暮らし中の母なんだが。

やっぱ、70年も一緒にいたわけだから、そこにいないってのがある種不自然なんだろうと思う。

喪失感っちゃ喪失感なんだろうけど、不自然に感じてんだろうなぁ。


随分前に、手品的なマジックの地域サークルなんかに入ってたんだが、それのグッズなどの名残り品が残ってる。ぱっと出す花とかあるじゃん。あれなんかなんだけど。


で、母が言ったわけよ。

「(父が亡くなって)しばらくは、マジックとかで使ってた花の色とかが好きで。全然深みのない、やすーい感じの色。赤っていう赤。黄色っていう黄色。ピンクっていうピンク。もう(その感覚は)無くなってきたけど」

そして

「ああいう色が好きな人は、よっぽど深い悲しみを抱えているのかな」と。


普段、いくら造花を飾るっつったって、もうどう見ても赤です赤みたいなさ、そういうのは飾ってなかったわけよね。

それが、いなくなってしばらくってのは、ペラペラな材質の深みのない色のものをあちこち置いてたんだな。


ところで、日本の色彩って物凄く精緻でしょう。色の種類ったって、物凄い数あるしね。

微妙でね。

悲しみに圧倒されそうなとき、母はそういった色合いと逆がよかったってことだよね。


本来の日本の色に比べると、西欧の色、とくにアメリカのそれって、ハッキリくっきりな色だよねぇ。

とってもハッピーな赤とかピンクとかって感じあるけど、実はそれってよっぽどの悲しみが裏にあるってことかもしれないなと、ふとね、思ったよ。

ま、ディズニー的なあの色の裏側には、とんでもないことが隠されてきたように。


深みのある色って、楽しすぎも悲しすぎもしないよねぇ。

真ん中、中間、中庸があるよね。

それって、今ここ、ナカイマだよねぇ。未来や過去じゃないよね。

だって、結論なんてちゃちなレベルじゃないもんねぇ。