水木大先生が逝去されて、早4年目である。荒俣宏氏や京極夏彦氏をはじめとする、水木しげる信奉者たちは、その後も妖怪道を歩んでおられるであろうが、やはり巨星墜つの感は否めない。
水木翁が亡くなられる15年ほどの間、妖怪ブーム、水木ブームが空前の活況……でもないか……少なくとも、かなりのメディアが妖怪や水木しげる関連をとりあげていた。文化財として、時代が認めた期間であったろう。
 
その頃、世に出ていたDVD「妖怪水木しげる ゲゲゲ幸福論」を、今更ながらに手にした。
箱入りであり、開けてみるならば
豆腐小僧のフィギュアつきである。
一番上の写真にあるように、DVD「水木しげる大全」……これは、水木翁と荒俣氏がこたつで語り合うという木訥とした且つ奥深い対談なのだが……の他、水木の幸福論的書籍は、多数触れてきているので、今回の内容も同様であろうと思っていた。
しかし、予想は覆され、完全に水木しげるに密着した内容であり、また次女の水木悦子氏の卓越したエッセイがナレーションとして支えている。さらに、これも荒俣氏が同行したニューギニア紀行がエピソード的に収録されている。
加えて、全体を通低する癒しの音楽が胸に刺さってくる。
そして最後に、水木翁が当時83歳での幸福感をさらさらと描き、丁寧に色付けをされた絵がしめくくるのである。
拙者は、畏敬と笑いに飲み込まれ、最後の絵をみたとき、涙落を禁じ得なかった。
 
ギャラクシー賞が何なのか知らないが、BSで放送されたものなのであろう。
 
 ここでは最後に、“二番弟子”に当たられるであろう京極夏彦氏の「豆腐小僧 双六道中」と、豆腐小僧のフィギュアをセッションさせて締めくくろう。