花びんに咲いた だいだい・きいろ
hakogame
三輪車のうしろに付いたカゴに、いっぱい小さなお花がいれてあります。
これこそ、るうちゃんの春なのです。
このカゴに、夏には、せみさんのヌケガラがはいります。
秋は、どんぐりのたくさんと、そこから出てくる虫さんでいっぱい。
冬は、椿の実がごってごて。
そして、春はやっぱり、うすい青や紫や黄色の小さなお花でいっぱいになります。
どうして小さなお花かというと、大きいのは、ママがとってはダメ!というからです。
今日はどの辺でつむのかな?
ほんの少しの土のところにもお花はさいています。ちゃんとそれを見つけました。
(お花は全部とらないで、5つさいていたら2つまで。3つさいていたら1つだけとっていいから、今日は2つとっていいな)と、いよいよお花をつもうとしたとき、ママが向こうで「きゃー!」と叫びました。
るうちゃんは、いそいでママのところにかけっていきます。
するとママが椿の木のところで、目を三角定規のようにつり上げ、わなわな震わせた指をつき立てていました。「もう出ている! 早い! 早すぎるわ!」
ママが震る指で示したものは? 毛虫さんでした。ママはキッとるうちゃんを見据えると、
「るう。今日からお庭でお花をつむんじゃありませんよ! 毛虫にさされますよ!」
るうちゃんは、突然のことになんだかわかりません。口をつきだすようにして、「うう
う」とつぶやきました。
さて、お昼を食べ終わって、昨日まではすぐお庭に飛び出す時間です。でも、今日からは禁止されてしまいました。
るうちゃんは、気がモギモギしてお部屋の中をあっちからこっちへ、行っては帰りを繰り返しています。
そこでママは仕方なく、
「これから、ママとお花屋さん行く?」
「行く!」
るうちゃんは、お花屋さんでお花をつもうといさんでいます。
ところが、お花屋さんでは、お花がつめないのです。売り物のお花ですからね。お花屋さんそれに、ママは鉢に入ったお花ばっかり買いましたし、それはるうちゃんがつんではいけないものでした。
今日は、ちっともいいことがありません。
ママは、うかない顔のるうちゃんを自転車に乗せて、お花屋さんに続いて、スーパーにお買い物に行きました。
ママの後を、るうちゃんがモチモチ歩いていると、ハンバーグを焼いているおばさんが
「これあげる」
といって、黄色のふうせんをくれました。るうちゃんはいっぺんに顔が明るくなって、「ママ! これこれ! もらったの」とさっそく、報告しました。
スーパーの次に、大きな電気屋さんに寄りました。なんと、ここでもふうせんを配っていて、るうちゃんはだいだい色のふうせんをもらいました。
その夜、るうちゃんは早く寝ました。気持ちが、下がったり上がったりして疲れたのでしょうか。
るうちゃんは、気がモギモギしてお部屋の中をあっちからこっちへ、行っては帰りを繰り返しています。
そこでママは仕方なく、
「これから、ママとお花屋さん行く?」
「行く!」
るうちゃんは、お花屋さんでお花をつもうといさんでいます。
ところが、お花屋さんでは、お花がつめないのです。売り物のお花ですからね。お花屋さんそれに、ママは鉢に入ったお花ばっかり買いましたし、それはるうちゃんがつんではいけないものでした。
今日は、ちっともいいことがありません。
ママは、うかない顔のるうちゃんを自転車に乗せて、お花屋さんに続いて、スーパーにお買い物に行きました。
ママの後を、るうちゃんがモチモチ歩いていると、ハンバーグを焼いているおばさんが
「これあげる」
といって、黄色のふうせんをくれました。るうちゃんはいっぺんに顔が明るくなって、「ママ! これこれ! もらったの」とさっそく、報告しました。
スーパーの次に、大きな電気屋さんに寄りました。なんと、ここでもふうせんを配っていて、るうちゃんはだいだい色のふうせんをもらいました。
その夜、るうちゃんは早く寝ました。気持ちが、下がったり上がったりして疲れたのでしょうか。
次の日の朝。るうちゃんは、またまた暗く沈んでいました。
昨日ふわふわ浮いていたふうせんが、床に落ちて、浮かなくなっていたからです。
「ママ、ふうせん死んじゃった?」
「違うの。これ、浮くガスだけ抜けちゃったのね。それより、早く牛乳を飲みなさい!」
ママは、昨日買ってきたお花の鉢を、ベランダのどこに置こうかで頭がいっぱい。
「あそこかなあ。でも、ねえ・・・。るう! 牛乳は!」
なんて言いながら、リビングの花びんを持ち上げました。
花びんにさしてあったお花は、もう古くなって枯れていました。
ママは枯れたお花を抜き取って、「花びんがあいちゃった。どうしようかしら」
そのとき、るうちゃんが何かふり回しながら飛んできました。
「これこれ! これつんできたの!」
るうちゃんが、つんできたものは?
床に落ちちゃっていた、だいだいと黄色のふうせんでした。
「えっ? ふうせん。ふーん、けっこういいかも」とママはふうせんをうけとると、花びんにいけてみました。そして、・・・。
「わー! きれい。るうのセンスはすごいよ。いいよこれ」
と、ママは本当に感心していました。
るうちゃんは、全くの円になった笑顔でうなずきました。それから、あわてて牛乳の残りを飲みました。
窓から陽がさっとさしました。
昨日ふわふわ浮いていたふうせんが、床に落ちて、浮かなくなっていたからです。
「ママ、ふうせん死んじゃった?」
「違うの。これ、浮くガスだけ抜けちゃったのね。それより、早く牛乳を飲みなさい!」
ママは、昨日買ってきたお花の鉢を、ベランダのどこに置こうかで頭がいっぱい。
「あそこかなあ。でも、ねえ・・・。るう! 牛乳は!」
なんて言いながら、リビングの花びんを持ち上げました。
花びんにさしてあったお花は、もう古くなって枯れていました。
ママは枯れたお花を抜き取って、「花びんがあいちゃった。どうしようかしら」
そのとき、るうちゃんが何かふり回しながら飛んできました。
「これこれ! これつんできたの!」
るうちゃんが、つんできたものは?
床に落ちちゃっていた、だいだいと黄色のふうせんでした。
「えっ? ふうせん。ふーん、けっこういいかも」とママはふうせんをうけとると、花びんにいけてみました。そして、・・・。
「わー! きれい。るうのセンスはすごいよ。いいよこれ」
と、ママは本当に感心していました。
るうちゃんは、全くの円になった笑顔でうなずきました。それから、あわてて牛乳の残りを飲みました。
窓から陽がさっとさしました。
(おしまい)