「紹介状と血液検査の結果から、
息子くんは『1型糖尿病』を発症したと思われます」
「やっぱりそうか…」
私はようやく「何かがおかしい」と言う気持ちから解放されました。
あの時泣いたおかげで、
もう涙も出ませんでした。
頭の中のザワザワも静まり返っていました。
「1型糖尿病との新しい暮らしが始まったんだな」
と思っていました。
先生にC病院を受診するまでの経緯を聞かれ、これまでのことを話しました。
先生は私の話を最後まで聞いてから、
こう言いました。
「1型糖尿病を突然発症してここに来る多くのお子さんは、息子くんよりももっと体がしんどい状態で受診します。突然倒れて救急車で運ばれて来ることもあります。」
「お母さん、よく息子くんの辛さに気づいてあげましたね。こんな元気な状態で、自分の足で来られたことはすごいことです」
そして息子に向かって、
「お母さん、すごいよね!」
と言いました。
息子は照れながらも、小さくうなづいてくれました。
その瞬間、私はあの時とは違う感情で涙がこぼれてきました。
私はずっと自分を責めていました。
ここに来たたくさんのお母さんもみんな、
自分を責めていたのだと思います。
「この先は自分を責めずに、
自分の出来ることをして行けばいいんだ」
そう思えて、ホッとした涙でした。
ひと通り問診が終わり、やはりこの日から入院することとなりました。
「息子は1型糖尿病かもしれない」
と夫に伝えた翌日に買ってきてくれた本。私は最初は怖くてページをめくることができませんでした。
夫がこの本を使って息子に1型糖尿病のことを説明しているのを見て、私は自分を責めていました。