続き


外の風の音がビューっとかすかに唸った。

4時50分、柏手のような音と、また、ちん、ちん、と音。


くしゃみをしてしまい、自分のくしゃみがこんなにも大きく響く。
本当に静かだ。

大理の夜明けは6時48分、あと2時間後だ。

遠くを車が走って行く音がする。

昔むかし、この世の苦しみから人々を救うため玄奘法師は天竺に行き、
ありがたいお経を持ち帰るんだけど、
西遊記がただのキテレツなおとぎ話で無い凄味を感じる。
言葉に力があるなら、世の中や人の平安を願う祈りには
すごい力があるのだろう。
教会や祭壇の類いは古代から人と共にあったと考えられてる。
祈りの力は日常だったんだろう。
動物は祈るのだろうか。
アリジゴクは罠を作って獲物がかかるのを待つのだろう。
彼らも願います。
蚊だって血を求めて僕ら獲物に近づくし、刺される前には何かしらやばそうな気配もする。
花は開花すると、彼ら彼女らの恋愛&結婚である受粉をして種子を作る。

僕らが恋愛を眩しく思う根本があるから
満開の桜や、コスモスや、咲き乱れる花から生きる喜びの
もはや願いではなく、祈りにも近いハーモニーが直感的に幸せにさせてくれてたんやろね。


朝の早い撮影隊がそろそろ動き出すかな。

風の音はするけど、お経は聴こえてこない。


なんだかお腹がへっちゃった!


夜明けまで後、1時間。


また木魚とちん、ちん、って音がして

読経が始まった。



山岳信仰ってよく知らないけど
強く厳しく優しい山の綺麗さに、有無を言わさず納得する、
そんなような優しい声だ。

不謹慎かもしれないけど
これを聞きながら、うとうとしたい気分やな〜。

早起きした甲斐があったな。




たいそん