前回のブログのコメントでN54エンジンに付いての

質問が有りましたので


僕なりの見解を回答したいと思います。



先ず、N54エンジンとは


BMWエンジンで初の

ダイレクトインジェクション式

排気量2,979㎤

直列6気筒ツインターボ

最高出力306ps/5,800rpm

最大トルク400Nm/1,300〜5,000rpm


初めて搭載された車両に乗った時の

(新車デモカー)

ことは今でも忘れません。


注目すべきは1,300〜4,000rpm間で発生する

フラットトルク


実際はトルク曲線図の様に完全フラットでは無いにしろ

それを感じられるエンジンです。


N54エンジンの説明はここまでにします。



先にデビューしていたN54のベースとなった

N52はバルブトロニックを搭載し

暖気後はインテークバルブのストロークを調整し

インテークエアの調整をしていますが、






↑はN54エンジンになります。


写真の通りインテークとエキゾーストカムシャフトは通常エンジンの機構です。


その為N54エンジンのインテークエアは

スロットルバタフライによって調整されます。



続きまして


ブローバイの処理


ブローバイはヘッドカバーないにある

オイルセパレーター、コントールバルブによって制御されています。


スロットルバタフライ後のインテーク圧力が


外気圧より低い時(無過給時)はインテークマニホールドにブローバイガスが導かれ


外気圧より高い時(過給時)にはスロットルバタフライ前のインテークホース側に導かれます。


ブローバイのホースが外部に1本なので

一系統しか無いと勘違いされそうですが、


実は2系統あります。





↑の、写真の赤い矢印の先にある穴が

ヘッドカバーで処理されたブローバイガスを

インテークマニホールドに導く為の通路になっています。


5本の矢印しかありませんが


最後の矢印のさきには

5番、6番シリンダーのポートへの通路が近くに

2箇所ありますので

各シリンダーにブローバイガスが導かれます。


オイルセパレーターの機能としては

問題は特に無いかと思いますが、


気になる人に外部のキャッチタンクなどを取り付ける事が出来ない機構です。


余談ですが

オイル消費過大の原因はステムシールの劣化が多いです。



以下からは僕なりの見解ですので、、、




先ずBMWエンジンのオイルフィラーをエンジン作動中に開けると負圧が強く開かない。




について


ブローバイガスは有害な成分を含んだガスになるので

確実に燃焼室に導き処理する必要があります。


先程お話しした通り過給機が搭載されたエンジンにも無過給時にはインテークマニホールド内にブローバイガスは導かれます。


ですのでスロットルバタフライでインテークエアを制御しているシステムのエンジンでは

おおかたアイドリング時にインテークマニホールド内の負圧が最大になりす。


ブローバイガスの制御で要なのが

クランクケース内の圧力と言っても過言ではない

と僕は思います。


ブローバイガスを有効的に処理しようと

何も制御せずインテークマニホールドに導く機構では、

クランクケース内が極端な低圧状況になってしまいます。


なので圧力をコントールするバルブが取り付けられます。


そのバルブによって適正なクランクケースの圧力を作ります。



理想は大気圧



クランクケース内の圧力をコントールするにあたり

方法はいくつかあるかと思います。


大気圧を基準に大気側にスプリングを設けたシステムですとクランクケース内の圧力は

正圧(大気圧より高め)


また、クランクケース側スプリングを設けたシステムだとクランクケース内の圧力は

負圧(大気圧より低め)


理想は大気圧といいましたが、

どちらのシステムもほぼ大気圧を目指した

設計になっているかと思います。


正圧設計の場合下降するピストンに負荷が加わり

負圧設計の場合上昇するピストンに負荷が加わります。


上記の事から大気圧が理想になるのですが、

大気圧を基準とした制御システム

(ゴム製のダイヤフラムとスプリング)


状況では理想値から外れてしまう


大気圧圧と言う

理想値に近づく為に弱いバネレートのスプリングを

使用しているのと、ブローバイガスの圧力を基に制御されている為、


制御バルブの開閉スピードはインテークマニホールド内の圧にはほぼほぼ左右されない


アイドリング時のような

インテークマニホールド内の負圧が高い時には

理想値より負圧が強くなってしまうのかと思います。


BMWエンジンは大気圧〜負圧よりのブローバイガス制御で設計されている為

その様な状況になります。


あまりにも酷い場合は制御バルブが不良の可能性も考えられます。


その場合エンジンの出力も落ちているかと思います。


長文になったので

ブローバイに関してはこの辺りでやめておきます。




最後にエンジンオイルの汚れ


これも僕なりの見解です。


近年のB系エンジンは酷く無い車両が多いですが、


それ以前のターボ装備エンジンは

確かにオイルがすぐ真っ黒になりますね。


使用オイルにも差は有りますが、、、


先ず、コールドスタートプログラム


N54にはコールドスタートプログラムがあり

エンジン始動後暫くはコールドスタートプログラムでエンジンが制御されます。


点火時期が上死点後30°(最大)


とかなりの遅い点火になります。


また、上記とは無関係に噴射制御も複雑で

一回の点火に3回噴射する事もあります。


それは状況に合わせた最適な噴射

燃費、出力、の向上がメインとありますが、

冷却の為に使用される状況もあるかと思っています。


上記の事から通常より遅い燃焼が

行われている為カーボン汚れ

ガソリン臭がでてしまっているのかと思っています。


あまりにも酷い場合は

排出したオイルの量を測って見て下さい。


ガソリン希釈の恐れがあります。


ただエンジンの調子は最悪な状況になっている場合か多いです。




もっと深くお話しするのは

長文になり過ぎるので

良く分からないかも知れませんが

この辺りでやめておきます。


最後に余談

コールドスタートプログラムをキャンセルされた車両を最近よく整備しますが、

冷間始動時にエンストしそうなラフアイドルになっている車両が多いのです。

参考までに。




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