今回はM4などに取り付けられている
電動式のLSDをご紹介します。
BMW M社の車両にはLSDデフが取り付けられている車両が多いです。
やはりスポーツ走行にはLSDが必須
ですが、デメリットもあるので
色々な開発がされています。
E46 M3に搭載されたオイルポンプ式は
斬新でデビュー時に驚かされました。
電動式LSDはF10 M5に初めて搭載されたデフになります。
今回分解したのはF82のデフになります。
先ずはオイルパンを外します。
矢印の部分はケース(実際はモーター)と接続し
デフとは一緒に回らずスラストベアリングと
アンギュラーボールベアリングで支持されています。
↑ケースから取り外し
ベアリングを外した状態です。
↑更に分解し
電動でLSDを操作する部品を分解
モーターによって
LSDをロックするには
赤矢印の突起を
白矢印の穴から
矢印の多板プレートを押し
デフロックします。
この部分は機械式LSDと同じ構造になるので
100%ロックします。
余談ですが
E46 M3などに取り付けられた
オイルポンプ式のLSDも同じ様な構造で
プレートをロックするのに
モーターか、回転差で発生した油圧かの差で
どちらも100%デフロックします。
油圧式を勘違いして
ビスカス式LSDと勘違いして掲載されている記事を
度々見かけますが、
間違いです。
BMWでビスカスカップリングを使用したデフは
センターデフ(トランスファー)以外ないかと思います。
では、
ここから電動式LSDの作動の心臓部を
簡単にご説明
↑は制御モーター
トラクションコントロールと連動して
制御されます。
ステアリングアングル
ヨーレート
減/加速加速度
などなどで
LSDをどの程度効かすかの実行役ですね。
↑そして重要な3枚のプレート
ボールの入る溝の深さによって
LSD多板プレートにかかる圧力を形成させる為の
重要なシステムです。
ボールのプレートを
溝プレートでサンドイッチする事で
↑1番深い溝にボールが収まっている状態
↑こちらは浅い溝
こんな感じで高さが変化し
多板プレートに圧力を掛けています。
実際この技術初代X3トランスファーの前後トルク配分で使われていた技術です。
進化を続けて電動式LSDと言う形になったんですね!
重いデフケースの中で
通常日の光も浴びず
カゼニモマケズ
M4達を前に前にと
前進させ続けている
電動式LSDさんに
ロマンを感じます。