編集・文責…森達也(劇団ギルド電撃蛍主宰・新栄トワイライト運営)
学生演劇の世界に入りたての吉田ひろしさんと豊橋を主な活動拠点としている加藤鉱太良さん。どちらも名古屋演劇界の中ではあまりお見かけしない組み合わせです。そんなおふたりの新栄トワイライトにかける意気込みを聞いてみました。
森 今回のペアが決定した時の第一印象はどう思いましたか？
吉 実は僕たち、名古屋学生演劇祭の打ち上げで会ってるんですよ。僕はあんまり記
憶にないんですけど。だから、「ああ。会ったことある人で良かった」っていう
のが第一印象ですね。
名古屋学生演劇祭…名古屋で年に一回開催されている演劇企画。名古屋に拠点を置く学生劇団を集め、各々の団体の作品を競わせる企画。最も評価の高い団体は３月ごろに行われる「全国学生演劇祭」へ出場することができる。
加 僕は名古屋の演劇界にあまり知り合いがいなくて…。けど、さっき言われたみた
いに吉田君だけは知っていたんですよ。打ち上げの席でひとひらりの梶間くんに
めっちゃ絡んでるのを見て、「ああ、めっちゃ絡んでるなぁ…変な人だなぁ」っ
て思って(笑)
吉 僕は彼を知らないんですけど、彼からは知られていたらしいです(笑)
森 なるほど(笑)
※ひとひらり…名古屋に活動拠点を置く学生劇団
※体の余分な力を抜くことを目的としたストレッチを行う加藤氏。この間、演出の吉田氏はこまめにアドバイスを投げかける。
森 演劇をしてるとよくありますよね。片方は「○○に出てたの拝見しました！面白
かったです！」ってけっこうな勢いで迫ってくるんですけど片方は相手のことよ
く知らないっていう現象。
吉 「お！よう！」「え？誰？」みたいな空気ね(笑)
～作品の中身について話を聞いてみた～
森 台本のプロットを少し拝見させてもらったのですが、舞台は電車の中という設定
なんですね。
吉 そうですね。
森 お話のあらすじはどういったものなのでしょうか？
吉 成人式の会場に行く男が主人公なんですけど、その人が成人式に行く途中で「い
やだなぁ…行きたくないなぁ」ってすごく後ろ向きなことを思ってるんですよ。
そんな彼の「感情の起伏、変化」と「地下鉄の乗り換え」っていう動作を照らし
合わせたお話です。
森 場面やシナリオの着想はどのように思いつきましたか？
吉 僕が最初に案出した時は、成人式に対して「嫌だなぁ」「行きたくないなぁ」っ
ていう風に退行した思いを抱いたんですね。
森 好んで行きたくはないと？
吉 はい。あと、舞台が比較的狭いということで、あまり抽象的なものではなく、
ぱっと見でどこかわかるところが良いなぁと。あと、僕が電車が好きなので、電
車にまつわる小ネタを入れていけたらなあと思って。
森 成人式を選んだ理由は何ですか？
加 僕が今年度成人をむかえて、来年の１月に成人式に出席しなきゃいけないんです
よ。そこで中学時代の友人とか地元の人たちとなんらかの付き合いをしなければ
いけないんですね。けど、正直いうと地元の中学の友人よりも高校時代の友人の
方が気が合うのでなんというか…。
森 気が進まないですか？
加 そう！まさにそういう感じですね。この感情が作品にうまく反映されると良いん
ですけどね(笑)
森 おふたりはこの作品をどのような人に見てほしいですか？
吉 そうですね……やっぱり僕や加藤さんと同じ学生の人たちですかね。今回のお芝居はちょうど成人式直後っていうこともあって、話題としてはすごくタイムリーなものになってるんですよ。だからこのお芝居の雰囲気とか主人公の心情が一番共感されやすい時期だと思うので、何かしら「ああ…」って思ってほしいですね。
森 「ああ…」っていうのは共感であるとか、反感であるとかなんでも良いからおふたりの芝居を見て具体的な感情を抱いてほしいっていうことですか？
吉 そうですね。何か具体的な思いを抱いてもらえるよう。僕も加藤さんも精一杯がんばるつもりです。
森 では最後に今回の企画に対する意気込みをお願いします！
吉 僕は今年（2016年）の冬から劇団バッ カスの水族館の所属になったので、劇団の
看板に泥を塗らないよう頑張っていこうかなというのがひとつ。もうひとつは、
今後の演劇活動に役立つように、今回の企画で演出、舞台装置ともどもいろんな
ことを試していけたらなと思います。
※バッカスの水族館…名古屋を拠点とする学生劇団。
森 加藤さんはいかがですか？
加 今回はもともと作・演出でしたが、紆余曲折を経て役者を担当できるよう
になりました。僕は名古屋の舞台に立ったことがあまりないので、これを
機会に役者、加藤鉱太良を示せたらなと思っています。
森 今回の企画を機に、名古屋に役者としての自分をアピールしていきたいということですか？
加 そういうことです(笑)
森 以上でインタビューを終わります。おふたりともありがとうございました。
吉・加 ありがとうございました。
＊ちょくちょくカメラを気にかけてくれる吉田氏。
今回取材したペアは、出演団体四組の中で出演経験が最も少ないペアでした。しかし、だからといって怖気づくことなく、「試せることを試したい」「自分の存在感を示したい」という向上心と野心の強い組み合わせです。ふたりの向上心と野心がどのように作品の中に投影されているのか…。気になる方は是非1月12日木曜日に新栄町のクラブロックンロールにお越しください！
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