編集・文責…森達也(劇団ギルド電撃蛍主宰&新栄トワイライト運営)

 ゲボゲボからの刺客くつなつくさんと劇団鯱のパワーボムきてっとさん(以下敬称略)。今回の新栄トワイライト参加者のなかでも一、二を争う独特のオーラを漂わせるおふたりから今回の意気込みを聞いてみた。

 

森 ペアが決まった時の第一印象はどのようなものでしたか?

き 第一印象ですか!?うーん……。

く 「誰だ?」っていうのがまず初めだよ          ね(笑)

一同 (笑)

く いや、もう「誰だ?」としか(笑)

き 僕も「誰だ?」ってなりました。

く 嘘でしょ?え?嘘でしょ?だって君ゲボゲボ観に来てたじゃん!

 

※ゲボゲボ…くつなつくが所属している団体。名古屋を拠点に活動している。

 

き いや、その時名前は知らなかったんですよ。

く あ、そうなんだ。

き で、そのあとすっきーさんにくつなさんが誰か伺ったら「ゲボゲボの方だよ」って言われて、「ああ!あの人か!」ってなりました。


 ※すっきー…すきがらみさとのこと。新栄トワイライト運営にして劇団バッカスの水族館、ゲボゲボに所属している。


く ああ、なるほどね。僕も実はきてくんのことをすっきーさんから聞いてて、「きてくんは体の使い方は良いけど滑舌がすごく悪い子です」って言われてたから(笑)。

森 すごく忌憚ない人物評ですね(笑)

く あの子は忌憚ないからね(笑)

森 初稽古はいつ行いましたか?

く ペアが決まった次の日だっけ?次の次の日だっけ。

き そうですね……わりとすぐ集まろうって感じになってましたもんね。

森 動きだしは他のチームと比べると早かったんですね。

く 速攻だったね。

森 初稽古は何をしましたか。

く 軽くお互いの情報シェアする時間にしたね。

き そうしないと台本書けないって感じでしたもんね。

く 実際会ってみたらめちゃくちゃ変な…やばい子だなって感じだったね。

一同 (笑)

森 やばいっていうのは個性とかアクが強いというかんじですか?

く いや、もうやばいの一言に尽きる!きてくんはやばいよ(笑)

森 だそうですが、どうでしょうかきてくん。自分のことやばいと思いますか?

き なんかすごく過大評価されてる気がしてきたんですが(笑)

森 きてくんはくつなさんに対してどういった第一印象を抱きましたか?

き 第一印象は…すごくインテリ系な方かなと。

く ほうほう(笑)

き パソコンをひろげて、眼鏡をかけて、すっとした服を着て…「すげえ、インテリ系な方だな」と。あと、演出プランもすごく緻密で、稽古はいる前にスタートから作品が完成するまでの筋道とかをたててから稽古に入っていたのですごいなぁって思いました。

森 なるほど。稽古を重ねるにつれてきてくんの中のくつなさん像はどう変化していきましたか?

き めちゃくちゃ親近感わいてきましたね。

森 親近感ですか?

き そうです!僕、人と話してるとよく「お前の言ってること分からん」とか「は?」って言われることあるんですよ。けど、くつなさんと話してるときはそういうことなくて、言いたいことがちゃんと伝達してるんですよ。

森     話していてすごくしっくりくるといったかんじですか?

き まさしくそんな感じです!

森 とのことですが、くつなさんはどう思われますか。

く 僕も結構きてくんと同じ感じだな。職場とかでも自団体とかでも僕の発言の趣旨理解してもらえなくて、「は?」ってなることがものすごく多いのね。けど、きてくんと話してると、僕の伝えたいことしっかり受け取ってもらえるし、きてくんの伝えたいことしっかりと伝わってくるからすごく気が楽だね。

{2CBBB3EC-7377-4965-BD75-B8FB6B874B91}

※取材後、劇の前半部分の通し練習を見学させていただきました。
 

~作品の中身についての話~

森 今回上演する「テキサスハリケーン」のあらすじを教えていただけますか?

く 主人公の名前が「由良木くん」という名前なんですけど、卒業式の日にあこがれている女の子「羽化子ちゃん」に三年間抱え込んできた思いを伝えるんだと決心するのだけど、登校する道中で様々な困難が待ち構えているというストーリーです。登校演劇といった感じですね。

森  なるほど…この話はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

く ひとつにはまとまった話を書きたいというものがあったんですよ。僕、人間の内面を描写した劇とか、ある人間の日常を描写した劇が好きじゃないんですよ。あと、独白も嫌いですね。

森 独白もですか。

く 演劇って、役者が舞台上で何か行動していて、その行動のエネルギーを舞台上に発散させるから舞台って空間が舞台じゃない何か別の空間に見えてくるんだと思うんですよ。けど独白って結局役者本人が役者本人に対してエネルギーを飛ばし続けてるんで、舞台上には人間一人と寒々とした、ただの空間があるだけって感じになっちゃうと思うんですよ。

森 なるほど。

く っていうのを踏まえたうえで、今回はちゃんとストーリー性のあるものを創りました。僕が大好きなSFの要素と、役者であるきてくんの人柄とか、彼が抱えているフラストレーションを脚本の要素として加えて、「生きている人間が必死に行動していく」っていうエネルギーを大事にしていきたいですね。

森 演者であるきてくんは自分のどういうところに注目してほしいですか?

き …全部ですね。                     

森 全部ですか。

き そうですね。12月にバッカスの公演が終わってそこから1ヶ月で僕がどう進化したか見てくれって感じですね。

森 以前までのきてくんとは一味違うということですか?

き 絶対違いますね!

く 俄然成長していると思います。演出の僕からみても稽古ごとに進化していっていると思う。だから、きてくんを知ってる人にこそ観てもらいたいなとも思う。「きてくんはこの短期間にこれだけ進化したんだぞ」みたいな感じで。

き 目の前でそんなこと言われるとなんかすごい恥ずかしいですね。

一同 (笑)

森 進化したきてくんを観たければクラブロックンロールに来いということですか。

く うわ!全然魅力的じゃないうたい文句(笑)

き・森 (笑)

森 演出さんとしては、この作品はどういう人に観てもらいたいですか?

く 消極的なターゲットとしては片想いをしてる人ですね。先ほども言ったように恋愛的な要素もある芝居なので。積極的に意図してる層としては、とにかく前向きなエネルギーをお客さんにとばしていくつもりなので、何か問題を抱えている人、前向きになれない人に観てもらいたいですね。

森 なるほど。役者のきてくんはどのような人にこの作品を観てもらいたいですか?

き とにかく悩んでる人に観てもらって少しでも前向きな気持ちになってもらいたいです。「観に来てくれた人は漏れなく前向きにさせてやんよ!」って勢いで当日はやっていくつもりなので!

森 エネルギッシュなモチベーションですね(笑)それでは以上で質問を終わらせていただきます。おふたりともご協力ありがとうございました。

き ありがとうございました!

く みんな!観に来てね~!

{A03961C5-5FA3-44FA-97E1-6EEDC1D992D9}

※役者の動きに合わせて激しく揺れ動いていたくつな氏。彼の躍動感ある動きをみなさんにお見せできないのがとても残念である……。 

    今回取材したペアはとてもパワーあふれており、とてもエネルギッシュなオーラを感じました。自己の成長とポジティブな空気感を体現させるため奮闘する演者きてっとさん。単なる一人語りに終始してしまいかねない一人芝居をきちんとひとつの「物語」にしたてあげんがため試行錯誤する演出家くつなつくさん。彼らのエネルギーを間近で受け取ることができるならば、今年1年は今までよりも前向きに過ごすことができるかもしれないと感じました。


予約フォーム

https://www.quartet-online.net/ticket/shinsakaetw11