立正安国論は客と主人の問答形式で全体が構成されています。
 
前回あらすじ
民衆は、皆、正しい仏法ではなく、間違った悪い仏法、悪法を信仰している
だから、大梵天王・帝釈天王等の諸天善神の国土と民衆を守護する働きがなくなる。
善の神と、悪の神がいる。
善神は、妙法を法味としている、すなわち、下世話な言い方をすれば、妙法をご飯として食べて、力をだしているということ。




(通訳)     (解説)
客が言うには、天下・国中の災難については、自分一人だけが嘆いているのではなく大衆がみんな悲しんでいる。

今あなたのところに伺って初めて立派なご意見を賜ったところ善人や聖人が国土を捨て去る故に、災難が相次いで起こるということであるが、それはいったい何の経典に出ているのかその証拠を聞かせていただきたい。

それに対し、主人が答えていうには、そのような経典はたくさんあり、その証拠は数え切れないほどである。

主人(日蓮大聖人)が答えていうには、根拠となる経典は、沢山あり、

わかりやすく、はじめに申し上げると、
沢山の経典の中から、
選ばれた4つの経典を例にあげられて、
話が進んでいきます。
それは、
     金光明経
     大集経
     仁王経
     薬師経
です。



根拠①金光明経

まず金光明経には次のように説かれている。

四天王が仏に申し上げて言うには
もしある国王がいてその国土に正法があるにも関わらず、国王がそれを流布させないで
むしろ捨てはなれる心を起こして
四天王(仏様が住む、
    須弥山[しゅみせん]の
    東西南北の四方を守る天王のこと) 
  東を守るのが持国天皇、
  西を守るのは広目天皇、
  南は増長天王、
  北は毘沙門天王である。

仏に言うには、
正しい仏法があるにも関わらず、国土の王が、正しい仏法を広めることもせず、
むしろ捨てようとして、


弔問しようともせず
休養することも
尊重することも
讃嘆することもせず

正法を持つ四部の衆や持経の人を見ても
尚、尊重も供養もしない。
正しい仏法を信仰している僧や尼僧、正しい仏法を信仰している人をみても、尊重も供養もしない


そして、ついには我ら(帝釈天や四天王)及び余の眷属である無量の諸天に対して
帝釈天王を中心として東西南北を守る四天王のこと。
東を守るのが持国天皇
   安民の役目を持つ

西を守るのは広目天皇
   衆生を観察して悪を呵責する働きを持つ

南は増長天王
   煩悩を離す働きを持つ

北は毘沙門天王
   多聞天王ともいい、法を多聞して、
   法座を守る働きを持つ

余の眷属とは、それ以外の諸天善神、良い神様のことである。


その甚深の妙法を聞かせないようにしてしまいそのために諸天は食べ物としている甘露の味わいを得られず
正法の水流に浴せず
ついにその威光勢力を失わされてしまう

前回の解説でも書きましたが、
諸天善神、良い神様は、
正しい仏法(ここでは、法華経の意味で、南無妙法蓮華経)を聞くことにより、
それを食べ物として、力を出し、人々や国土を守っています。
食べ物がなければ、力尽きて力を出せない
正しい仏法が法華経というのは、
四天王のうち、
毘沙門天王と持国天王が
法華経陀羅尼品[だらにほん]において、
法華経の行者を守ることを誓っている


しかして、国中に地獄、餓鬼、畜生、修羅などの四悪趣が増長して
人界、天界の境界はそこなわれ、
煩悩の苦しみに落ち込んで
涅槃(成仏)の道に背き遠ざかってしまうのである
成仏というと、一般的には死ぬことをさしますが、
ここでいう成仏は、仏の境涯に成ること。
生きていながら、仏様の境涯になる。
だから、善神にも守っていただける
その道から遠ざかる


世尊よ、我らと四天王並びに諸々の眷属、及び夜叉等は、斯くの如く国王が正法を流布せしめないことを見て、その国土を見て、その国土を捨てて擁護しなくなってしまうであろう。

四天王並びに諸々の眷属
    仏様が住む、
    須弥山[しゅみせん]の
    東西南北の四方を守る天王のこと) 
  東を守るのが持国天皇、
  西を守るのは広目天皇、
  南は増長天王、
  北は毘沙門天王 
諸々の眷属は、上記以外の諸天善神のこと

夜叉[やしゃ]は、本来は
  形貌醜怪[ぎょうぼうしゅうかい]で
  猛悪なインドの鬼神であるが、
  仏教においては、毘沙門天の眷属
  として、法華経の行者を守護する


その上、ただ我らと四天王のみがこの国この国土を捨て去るばかりでなく
国土を守護する無量の諸天善神も、必ず皆悉く国土を捨て去るであろう。
すでに諸天善神が捨て去ってしまったならば、その国には種々の災禍があって、まさに国位を失ってしまうだろう。
一切の人衆は、皆、善心がなく、
ただ縛りあい、
殺害しあい
争いあって
互いに相手を懺悔し、
罪のない者をも曲げて罪に陥れるであろう
そして国土には疫病が流行し
空には彗星がしばしば出て
一度に二つの太陽が並んで現れ
日食や月食などの薄蝕が規則通りに行われず
黒白の虹が出て不祥の相を現し、
流れ星がでて
地震が起きて
井戸の中から異様な地鳴りがする
また大雨や暴風があって
風雨が時節通りでなく
常に飢饉にあって
穀物が実らず
多くの他国の怨賊が国を侵略
人々は諸々の苦悩を受け
楽しく生活のできるところはどこにもなくなってしまうであろう

             以上 

まさに、
コロナ、東日本大震災、異常気象、北朝鮮問題などと、リンクする部分が多いですね。
流れ星も、砂粒や石が落ちてきて地上にたどり着くまでに、燃え尽きるもので、燃え尽きずに残ったものが隕石と考えると、願いを叶えるという意味合いではなく、ある意味、攻撃的なものなのかもしれません。


次回は、
根拠②大集経
について解説です。