年功序列や終身雇用という雇用システムは、高度経済成長期のシステムであり、これからの時代では適さないことは明白である。

まずは高度経済成長期の様子を簡単に列挙してみる。今の中国を想像して頂ければわかりやすい。
・国のGDPは毎年二桁成長に迫る上昇。
・国内市場の成長に伴って、企業業績も右肩上がり。
・労働人口、なかでも20代30代が多く、40代以降もしくは高齢者が少ない(今の中国はやや様子が異なる)。
などである。

国がこのような状況の時は年功序列や終身雇用は最適な雇用システムである。
なぜならば、企業にとってもっとも収益貢献をしてくれる20代30代の中堅社員を安い労働力で確保でき、収益貢献の割には高いコストがかかる40代50代の社員が少ないわけだから、企業の人件費は抑えられるからである。
また、GDPが右肩上がりで成長していくわけだから、ほぼ収益貢献をしなくなり窓際に追いやられたベテラン社員の給料も、堅調な企業業績によって確保されるわけだ。

しかし、現在の様子は違う。
・高い賃金(企業から見るとコスト)がかかるベテラン社員の数は、企業の中で最も多い。
・国内市場は成熟しきっており、業績の右肩上がりは期待できず、むしろ減益も考えられる。
・グローバリゼーションが進み、海外企業との競争も激化し、利益率は圧縮されている。
などである。

こんな状況の中で、年功序列や終身雇用の雇用システムが機能しないことは明白である。
利益が出せないのに、40代以降の社員に年収1000万円以上の給料を払い続けられるわけがない。
また、収益貢献をしていないベテラン社員が1000万の給料をもらうのに対して、より収益貢献をしてこき使われている若手社員は500万円程度の給料しかもらえないのであれば、若手のモチベーションが上がるはずがない。

同業他社で、若手に対しても利益に応じた年収が支払われる企業があれば、優秀な社員は転職するに違いない。

今後、日本で生き残れる企業は、高いパフォーマンスを上げた社員に対して、相応の報酬を与えることができる企業である。決して、有名な企業が生き残るわけではない。
2008年9月15日、リーマン破綻が契機になったわけではないと思うが、9・15以降から新時代の幕開けと見る向きが少なくない。たしかに、9・15はそれ以前とそれ以後の境界線となるのに十分すぎるほど大きなイベントとなった。

まずは、私の言う「新時代とは何か?」というところを説明したい。
一言で定義づけるのは難しいが、今まで当たり前だったことが、これからは当たり前ではない、ということである。
世界最大の債券運用ファンドPIMCOのビル・グロス氏が言うところの「new-normal」と同じような考え方である。

・日本人は、トヨタやソニーが世界屈指の製造業でこれからも世界をリードしていくことを信じている。
・多くの日本人は、大企業に入ればリストラはされない、給料は年と共に上昇していくと信じている。
・多くの日本人は、未だに日本がアジアでNo1であると信じている。
・多くの日本人は、日本が900兆程度の債務を抱えていることを認識していながら、日本がデフォルトすることはないと信じて疑わない。

これらは昔の常識であり、これからは通用しない。通用しないどころか、これらの常識が覆される瞬間を多くの日本人が目撃することになるだろう。

しかし、肝心なのは、これから新時代が幕開けするのではなく、既に新時代は始まっているということだ。
これに気づかず、旧時代の常識のまま生活していると、時代から取り残され、もはや追いつけなくなってしまう。

せめて多くの日本人に、既に新時代が始まっていることを認識してもらうために、日々思うことを発信していこうと思う。