国際通貨制度は「金本位制」という制度から始まっており、現状の「管理通貨制度」とは異なる。

金本位制:一国の貨幣価値を金に裏付けられた形の金額で表す制度

管理通貨制度:通貨の発行量を通貨当局が調節することで、物価の安定・経済成長・雇用の改善・国際収支の安定などを図る制度


では、通貨の歴史を見てみよう。

1816年 イギリス・金本位制採用
イギリスで貨幣法が制定されて金本位制が成立する。
当初は「1ポンドソブリン金貨」というものが発行された。

1871年 金ポンド本位制
ドイツが金本位制に移行するのを皮切りに、世界各国で金本位制が採用され、金とポンドを国際通貨とする金・ポンド本位制がスタートする。

1914年 第一次世界大戦勃発 各国が金本位制を離脱 混沌の時代

1944年 金米ドル本位制(IMF・ブレトンウッズ体制)
ブレトンウッズ会議でIMF・世銀の設立が提案される。
金と唯一兌換できるドルを基軸通貨として、他の国はドルと固定レートを維持する管理通貨制度のスタート。

1971年 米ドル本位制
アメリカがドルの金兌換停止を発表(所謂ニクソン・ショック)
西ドイツとオランダが変動相場制に移行
スミソニアン合意

その後プラザ合意もあるが、1971年のニクソンショック以降の米ドル本位制が継続している。

このように歴史を振り返ると、国際通貨制度のパラダイムシフトは約30~50年の間隔で起こっていることがわかる。

1816年→(55年間)→1871年→(43年間)→1914年→(30年間)→1944年→(27年間)→1971年

さて、現在は2011年。
ニクソンショックがあった1971年から既に40年が経過している。
歴史観からすると、国際通貨制度のパラダイムシフトが起こってもいいはずである。

直近の国際通貨制度を転換させうる大きな出来事としては、2008年のリーマンショックが挙げられる。
リーマンショックが通貨のみでなくアメリカ経済を中心とした世界経済に再起不能なダメージを与えたことを考えると、2008年というのは米ドル基軸体制の終焉の始まりを告げたのかもしれない。

また、ポンドを基軸通貨とした時代から米ドルを基軸通貨とする時代までの移行に、2度の世界大戦を含む30年間を費やしたことを考えると、次の新たなパラダイムが形成されるのにも相当な時間を要する可能性がある。

もちろん、新たなパラダイムの主役候補の筆頭は中国だろう。
現状、中国がアメリカと比べてまだまだ小国であることは否めないことを勘案しても、新たなパラダイム形成にまだ時間を要すことには納得がいく。

また、その間のユーロの動向にも注目が集まるが、今の状況だと新たなパラダイムが形成される頃にはユーロという通貨は存在しないと考えるのが自然のような気がする。
このあたりは、まだ考えがまとまらない上に、そもそも言い当てるなど不可能な事象なので、もう少し様子を観察した後に機会があれば所見を書いてみたい。




iPhoneからの投稿