先日のバーナンキ議長の会見で6月にQEⅡが終了しその後はFedのバランスシートを維持するQE2.5へ移行することがほぼ確実となった。
ここで、QEⅡが世界経済に与えた影響を振り返ってみよう。

Fedのデュアルマンデートは「適度なインフレ」と「雇用創出」である。つまりFedの金融政策の目的は全てここに通ずるはずであるので、まずはここをチェックしよう。

・ インフレ~まずまずの効果
米国のコアCPIは直近の数字で前年同月比+1.3%まで上昇してきている。一時0.6%まで落ち込んでいたことを考えるとまずまずの結果といえるだろう。

・ 雇用~ほぼ効果なし
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この図は、アメリカの雇用者数変化(棒グラフ)と失業率(折れ線グラフ)を表している。
失業率は依然9%台で推移と高止まりしていてリーマンショック後からほぼ回復していない。
雇用者数変化を見てみても、リーマンショック後に失われた雇用の量とその後の回復の量を比べれば、まだまだ失われた量が多いことが一目瞭然である。
雇用はほとんど改善していないことは明確だ。

では次にマーケットの推移を見てみよう。

・ ドルインデックス
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QEⅡは2010年11月3日のFOMCで宣言されたが、実質同年8月27日ジャクソンホールでのバーナンキ議長の会見でQEⅡを示唆したことからマーケットは織り込み始めている。
上のグラフはドルインデックスの推移である。QEⅡによりドル安が進んだことが一目瞭然である。ドル紙幣を刷りまくっているのだから当然の結果だ。

・ 株価(NYダウ)
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これもQEⅡ示唆以降、堅調に上昇しているのがわかる。直近はQEⅡ終了が近づき株価は下落している。

以上からQEⅡが何をもたらしかたというと、
「実体経済の回復」ではなく「株価の押し上げ」だったことがわかる。

QEⅡとは簡単に言ってしまえばドルをたくさん刷って市場にお金をたくさん供給することである。市場にお金を供給すれば企業は投資や雇用を活発にして経済が促進する、という考えだ。
しかし実際は、企業は株価が上がって潤ったが、一般庶民にはその効果は行きわたらず失業者は失業したままという結果となってしまった。
もっと言うとQEⅡの影響でエネルギー価格や食品価格が値上がりしてしまったので、国民の生活は少し苦しくなったのかもしれない。

ともあれ、アメリカは6月でQEⅡを終了させこれ以上のばら撒きは行わない(財政赤字が膨らんでいるのだから当然なのだが)。
バーナンキ議長率いるFedやオバマ政権は今後のアメリカ経済をどう舵取りしていくのか注目である。




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