リニアモータの概念は、かなり昔から文献に出ていた。私が見た文献では、確か鉄道用のモータとして設計図までは書かれていたようである。リニアモータを使った鉄道は、ご存じのとおり日本のお家芸であるので、リニア鉄道も科学の一つと言える。




さて、リニアモータは鉄道用のモータだけではなく、現在、いろいろな場所で使われている。リニアモータの定義を、水平に動くモータだとすると、電磁弁や車のドアロックもリニアモータの一つと言える。そういったことから、日常でリニアモータが使われている。このような日常のリニアモータは、ストロークがとても短いのであるが、ストロークの長いものとしては、すでにエレベータで実用化されている。




通常、エレベータはカーゴがカウンターバランサーとロープで結びつけられていて、エレベータ機械室でモータを回転させて、カーゴを上下させる。このロープには鉄線が使われている。すると、当然ながら建物の高さが高くなってくると、ロープの耐久性が問題になってくる。超高層ビルではこの鉄線の自重がとても重たくなるので、カーゴを支えるどころか自分の自重でロープが切れかねない。そこで考え出されたものが、ロープレスエレベータである。この駆動にリニアモータが採用された。横浜のランドマークタワーもリニアエレベータを採用している。また、リニア駆動のエレベータはレールと非接触にすることによって、騒音や乗り心地が改善され、高速移動が可能となる。この非接触の技術を最初に出したのは東芝である。




ランドマークにもリニアエレベータがあります




もし超高層ビルにロープを使った旧型のエレベータを採用したとすると、上層階に行くためには、途中でエレベータの乗り換えが必要になる。2~3回も乗り換えをするような高層ビルになると不便であるため、科学が超高層ビルが便利に使えるように貢献しているのでうれしく思う。