強力磁石はどういったものがあるかご存じだろうか?

ピップエレキバンでは、1300ガウスの磁石ということで、この数値が高いほど強い磁石なのだろうということは、容易に予想できる。


新日本科学-新日本科学が生み出した強力な磁石

ガウスという単位は磁力線の数と言われているが、磁石から磁力線が実際には出ているわけではない。このことについては、時間があるときに説明したいと思う。

さて、ピップエレキバンの磁石はフェライト磁石を使っている。この磁石は、酸化鉄を焼き固めた磁石なので、焼結磁石と言われている。世界でも最もたくさん使われている磁石で、かつてフェライト磁石の生産は、日本が世界一であったので、日本のお家芸の一つでもあったと言える。

フェライト磁石の他には、アルニコという磁石がある。原材料名の、アルミニウム、ニッケル、コバルトを略して、このような名前が付いた。この磁石は鋳造で作られるので、高温の熱に耐えられ寸法精度が高く、磁力はフェライト磁石の数倍であるが、磁力が下がっていきやすい、つまり減磁しやすいという欠点がある。

そして、世界でいちばん強力な永久磁石はネオジム磁石と言われる磁石である。成分が、ネオジム、鉄、ボロンなので、ネオジ鉄ボロンとも言われる。ネオジムは希土類であるが、希土類を使った磁石のことを総称して希土類磁石と言っている。希土類磁石にはサマリウムを使ったサマリウム磁石というものもある。サマリウム磁石の原材料は、サマリウムとコバルトなので、サマリコやサマコバと略されることもある。ちなみに、私はサマリコと略している。

聞いた話であるが、この希土類磁石を実用化したのは、研究熱心な日本人の技術者ということである。つまり、希土類磁石の道を開いたのは、科学であるということになる。

「希土類で強力な磁石が作れるかもしれない」ということで、磁石の調合を大学生の頃から研究をしていた技術者が、磁石会社に就職した。しかし、そこでは研究資金が打ち切られてたために退社し、自ら磁石の製造会社を設立したとのこと。そして、研究の末、ついにサマリウム磁石という、当時、世界で最も強力な磁石を開発し、世界を驚かせたらしい。

サマリコは、ネオジに次ぐ磁力を持つが、磁力の耐熱温度が高いので、高温での用途に用いられることが多い。

さて、科学が切り開いた希土類磁石であるが、もっとも強力な磁石は、1cm四方の面で磁石が2個くっついた状態で、約50kgぐらいの力で引っ張らないと、それらを引き離すことができないぐらい強力な磁力である。

さて、一番強力な磁石と言えば、やはり電磁石であろう。ただいま建造中の核融合実験炉JT-60SAでは、電磁石と超電導磁石を組み合わせて強力な磁場を作り出すようである。なお、トロイダル磁場は2.25Tとのこと。

超伝導磁石は、あまりお目見えしないと思うが、シリコンウエハーを製造するときには欠かせないものであるので、見えないところで大活躍をしている。この超電導磁石も科学のお家芸の一つで、日本が世界をリードしていると言える。