なごやんのBCL史(64)不屈の島国 | (新)なごやん

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名古屋からJリーグ アルビレックス新潟に熱い思いを送ります。旺盛な好奇心そのままに、アルビネタに留まらず、鉄道、芸術、SWL(短波・海外放送受信)、昆虫、等々、思いつくまま書いていきます。
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 このテーマの記事は中学生、高校生を主なターゲットとし、海外放送を通して広く世界に関心を持ち、考える幅を広げてほしいという願いを持って書いています。従って、OMさんにとってはものたりないかもしれませんがご容赦ください。また、間違いなどがありましたらご指摘ください。

 

 今回はヨーロッパで、地中海の小さな島国、マルタへ来ました。昨年ハイジャック事件のあった国です。

 

【海上交通の要所】

 シチリア島(イタリア)の南に位置するマルタには新石器時代から人が住んでいたとされ、カルタゴ、イスラム帝国等の支配を受けてきました。

マルタの位置

 

 18世紀にはナポレオンのエジプト"遠征"に伴いフランス領になりますが、1814年、「パリ協定」を経て"大英帝国"に支配されることになりました。

 

 "英国領"マルタは地中海航海上の要地となり、特にエジプトのスエズ運河が開通してからは、地中海を経てインド洋へ行く船舶の停泊地としても発展しました。

 

 また、第一次世界大戦時にはこの地域で戦った戦士がマルタで治療を受けたり療養したりしたため、マルタは「地中海の看護師(Nurse of the Mediterranean)」とも称されました。

 

【不屈の島国】

 第二次世界大戦時には英国海軍地中海艦隊が置かれたため、幾度となく"枢軸国"であるイタリア、ドイツの空襲を受けましたが、大戦が終結するまでついに陥落することはありませんでした。このため、"英雄"としてマルタ国民に当時の英国王ジョージ6世より「ジョージ十字勲章(George cross)」が贈られました。(対照的なのは日本軍によって陥落させられたシンガポールです。)

 

 ジョージ十字勲章は現在でもマルタ国旗の上部に描かれています。

マルタ国旗(左上にジョージ十字勲章)

 

【英連邦内の中立国へ】

 第二次世界大戦後、マルタでは独立機運が高まり、1964年9月21日、エリザベス2世女王を君主とする英連邦内の君主国として独立しました。

 そして、1971年の総選挙でマルタ労働党が政権を取ると、1974年12月13日に共和国を宣言しました。それでも英連邦には留まりました。

 

 1980年、まだそのさ中にあった「冷戦」状態の中でマルタは中立政策をとり、1989年12月3日には旧ソ連邦のゴルバチョフ最高会議議長と米国のブッシュ大統領の会談をお膳立てしました。そこで冷戦の終結がアピールされたのです。「ヤルタからマルタへ(from Yalta to Malta)」と言い伝えられています。

 

 その後も政権交代を経ながら一貫して中立政策を取っています。

 

【ラジオ地中海(Radio Mediterranean)】

 1980年代にはマルタの首都ヴァレッタから送信する放送局がありました。Radio Mediterranean(ラジオ地中海/地中海放送)という局です。

放送スケジュール

 

 放送スケジュールの下の囲み記事にあるように、地中海を中心とした地域のニュースやスポーツ、音楽番組などがあり、アラビア語、フランス語、英語で放送していました。私は英語放送を聴いていました。

 

 東西冷戦下にあり、マルタは「西側」に属していたものの、報道はソ米どちらにも偏らない、独自、公正なものでした。NHKの国際放送、ラジオ日本もニュースの公正さには定評がありましたが、いかんせん、国外のニュースソースが米国中心で、ある種一方的でした。それに対し、ラジオ地中海のニュースはモスクワ放送等の「東側」からのものとも違った、世界情勢を考える上での有力な情報でした。

 

 受信報告に対しては比較的大型の受信証が送られてきました。

受信証(1) 

 

 ちょっとした質問には絵葉書、肉筆で答えてくれました。

 番組終了時の音楽は「ステーション・ファンファーレ」だそうです。オリジナルということでしょうか?

質問への返事葉書

 

 この局にはもう少し大型の受信証もありました。

受信証(2)

 

 また、こんなシールを送ってもらったこともあります。

シール

 

 その他にマルタの観光案内等も送られてきたのですが、それらの資料は現在行方不明です。

 

 1980年代は私がBSL離れ(笑)をしていく時期で、それ程聴いた放送ではありません。

 現在、この放送局が存在するかどうか不明です。存在しなさそうです。 

 

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