以前、アーミッシュについて触れたことがあるが、

私の妻は手前味噌ながらそれに通ずるものを持ち合わせている。


そもそも、フィリピンはカトリック教国であるため、

フィリピンの人々は赦すという行為に抵抗がない。


私は人を赦すことに苦痛を感じていた時もあったが、

本当のところ、赦してしまえば苦痛から解放される。


私たちは私が38歳、妻が26歳のときに

カトリック教会で知り合った。


妻は技能実習生として来日していた。


ほどなく、妻は妊娠。


しかし、実習先の企業から契約違反だと咎められ、

強く帰国を勧められた。


私は事の一部始終を録音していた。


その足で法律事務所へ行き、相談する。


「この契約自体が無効なので、気にしなくていい」

とのことだった。


弁護士は実習先企業へ架電し、

「録音データを聞きましたが、法的に問題があるのではないか」

と抗議した。


私は妻との結婚を実習先企業に認めてほしかっただけなのだ。


そのためのカードとして、実習先企業の不法行為発言を使わせて貰おうと考えた。


実習先企業もこちらの思惑を理解し、結婚へ向けてこれ以上ないくらいに協力的になった。


六本木のフィリピン大使館へ何度か足を運び、彼女の母国の家族にも必要書類を揃えてもらうなど、皆の協力の下、私たちは国際結婚を認められた。


当時、私は出所直後であり、派遣社員として就労していた。

将来の見通しが立ちづらい中、結婚することには不安があったが、今思うと本当に妻と結婚して良かった。


妻は私と結婚したことをアンラッキーだと言うが、

生まれ変わってもまた、結婚する約束はしてある。


派遣社員であったので、生活は困窮を極めたが、

クレカで都内の5つ星ホテルに宿泊する等、

状況をさらに悪化させるような行動を取っていた。


それを妻はワンディ・ミリオネアと言って笑った。


また、都内に行った時、私は妻を置いて群馬まで帰って来てしまったことがある。


それでも妻は私を赦してくれた。


普通ならこんなことしたら絶縁される。


普段は友達、時々恋人、たまに母親のような妻だから、

私は妻を愛しているのだ。