_____様
如何お過ごしでしょうか。
薄紅の花は新緑の葉となり、それもまた曇天の空から降りしきる露に濡れる時期となりました。
かのお国では四季はありますでしょうか。
私めは到底忘れることはできませぬ。
その双眸の優しい瞳も、柔らかな指の腹の感触も、心地の良い声音の響きも。
私めには、つい昨日の如く思い出せるのです。
貴方様が旅立たれてから早幾許の年月でしょう。
あの日の惨めな私めをお許しください。そして、あの日抱きしめてくれた貴方様のその温もりは忘れませぬ。
あぁ、だから、どうか、早く。
私めの元へお戻りくださいまし。そしてまた、この手を引いておくんなさいまし。
またこの日もお天道様は翳られて、泣いていらっしゃるのです。