それは幸せだろう
毎日 昼に夜に
寝転びながら 目を瞑って
手を伸ばし
まどろみながら
初めて知る詩人の名前を
暫くは眺めている
それはうつくしいだろう
初めて出会う人に
恋に落ちるように
世界中の詩が各国の言葉で
韻を踏み始めたら
それは騒がしいだろう
幾千に重なり唱えらる
マントラを
聴くようなわけにはいかないだろう
潮騒は
虫の声は
ぼくを瞑想に誘うのに
人間は疎ましいが
詩人にはいつも近づいていたい
ただそれも
演説やアジテーションではなく
ささやくような
愛に似せた詩をうたう詩人に
いわばミューズ 性別には関わらず
あるいは 照れながら 自嘲しながら
ウィットに富んだ
ダンスに跳ねる
青葉の雨に踊る
バッタのこどものような 無垢なる詩人に
それは騒がしいだろう
水兵が煙草をふかす
夜霧の海の彼方で
死に人たち 陽気に騒ぎ始めたら?
やがてむらさきの夜明けに
死に人たち 噎び泣きに変わったら
軍艦が
見世物小屋を 進んだら
政治家が 喇叭(ラッパ)を習い始めたら

