幼い頃からずっとピアノをやってて…

ううん、やらされてて。

小さい頃はちょっといい成績も出したけど

それで親も期待しちゃったんだろうけど…

でも、その後はさっぱり。

なのに、そうゆう大学にまで行っちゃって。

ずーっと、向いてないんだろうな…と思いながらやってた。


ピアノしかやってこなかった人間なのに

それこそ、バイトもしないし、恋愛もしないし

だったのに、唯一続けてたことが向いてないって…


結局、大学卒業後は音楽とはまったく関係のない銀行に就職した。

しかも、親のコネで。

大嫌いな親のコネで。

なにやってんだ。


その、銀行職も私には向いていない気がしてて…

親の言いなりになって、良かったことってなんだろう?


フミさんが初めて家に来た時

小さい時に聞いてたオルゴールだったかな?

に入ってた、乙女の祈りが好きだと言うので

ささっと弾いてあげたら

フミさんがえらく感動してくれちゃって…

あら、こんなので感動してもらえるの?

くらいな感じだったんだけど

本当に本当に感動した!とか言って

ギューっと抱き締められて

そして…キスしてきた。


私はそのキスを、全力で避けてしまった。

あまりにびっくりしたので。

突き飛ばして自分が倒れそうになるくらいに。

そこまで?

これが、私のファーストキス未遂事件。


でもその時、初めての彼氏の感動のしっぷりを見て

ピアノやって来て良かったな…

と初めて思ったかも。


先日、まゆみ先輩他数名の前でピアノを弾く機会があって…

機会があったとゆうか

「羽那ちゃん、ピアノやってたんでしょ?ちょっと弾いてみてよー!」とか言われて

断ったけど、押しに異様に弱い私は断りきれなくて…

ちょっとだけですよ…とか言いながら

久々だったけど、少し力を入れて弾いてみた。

乙女の祈り。


うわっ

腕、落ちてるな…ひどいもんだ!

と自分では思ったけど

弾き終えたら、皆がすごい拍手してくれて

もうびっくり。


あの程度の演奏で!?

経験者には聴かせられないよ…

くらいに思ってたのに。


すごい!すごい!

感動した!とかまで言ってもらえちゃったりして…

やっぱり、そう言われると嬉しくて。

照れ笑いして。

いやぁ…お恥ずかしい…

とか言いながら、実は

本当は

泣きそうなくらい嬉しかったりしたんだけど。


大人になってから、ピアノやってて良かったな…と思ったのはこれで二度目かも。


週末、久々に家のピアノも弾こうかな…

ううん、弾こう!

弾きたい!!


強制されなくなったら、好きになったかも。

そんなものよね…